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現代に至っても不治の病とされる病気疾患は数えきれないほど残っている。
いったん感染すれば発症を抑えるしかないHIVを始め、認知症、そして、パーキンソン病(ASL)も同様だ。
パーキンソン病は全世界で500万人が罹患しているとされる難病のひとつ。
進行を抑えることが最善の治療と考えられてきたが、作業療法の分野で前向きな効果が得られる可能性が提示された。
作業療法は日常生活に伴う行動を中心としたリハビリテーションだが、その一つの手法として脳の前庭に注目した「前庭リハビリテーション」が注目されている。
パーキンソン病患者にこの前庭リハビリテーションを行ったところ、バランス能力が改善したという。
パーキンソン病は進行すると姿勢制御機能が損なわれ、姿勢反射障害が現れる。転倒リスクが上昇し、骨折の多発から寝たきりに転じるケースが少なくなかった。
いまだに根本的な治療薬もなく、失われた機能は回復しないものとされてきた。しかし、前庭リハビリテーションを実施するグループと実施しないグループにパーキンソン病患者を分けて経過観察を行ったところ、前庭リハビリテーションを実施したグループではリハビリ前後で明らかなバランス能力の違いが記録されたのだ。
これまでパーキンソン病患者に向きあう医療従事者、特にリハビリテーション職の人員は、根治への絶望をどこかに抱えていたのではないか。どんなにリハビリテーションを行っても確実に進行する病状に、希望を持ち続けることはたやすくない。だが、作業療法の可能性に新たな光明が現れた。
前庭リハビリテーションが難しい病状の患者も多いことだろう。急がず少しずつ機能改善を試み、患者に未来を示してほしい。
パーキンソン病の大きな問題は身体の硬直と震えだ。服薬を徹底するとともに、筋肉を大きく動かして柔軟性を保たなければならない。
その基本は「日常生活」にある。それまでの生活で行ってきた掃除などの家事、買い物、脳への人為的な刺激や、住宅のユニバーサルデザイン化などが必要となるだろう。
患者の日常に寄り添う作業療法士には患者の病状と、運動機能の把握が欠かせない。だが、健常者にはパーキンソン病患者がどれほどの困難を感じているか、実感には遠いのではないか。
運動感覚を他者と共有する「bioSync」というデバイスがある。筑波大学の人工知能研究室が開発したデバイスで、電気刺激によって他者の運動と感覚を共有できる。
前庭リハビリテーションが注目された臨床調査もまた新たな挑戦だった。こうしたかつてないアイテムを活用するのも、リハビリテーションの世界に力をもたらす有益な取り組みになるはずだ。
新たな治療薬の開発、リハビリテーションの有効性、そして、医療周辺の工業技術の発展など。
医療行為に限定されない分野へも見識を広めたいところである。
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