地域医療構想が進む中で作業療法士のあり方を考える

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近年日本の医療制度は、迫る2025年問題への対応を急ピッチで進めようとしている。
その取り組みの主軸となるのが「地域包括医療構想」だ。
医師不足。看護師などのコメディカルスタッフの不足を補うために、確かに地域における要介護者の容量を増やす工夫は必要だろう。
だが、実態としては医療の専門家ですら手に余る病態の患者を一般人に負担させ、本人たちの能力を超えた苦しみを強いる結果になっていないだろうか。
2007年、1人の認知症患者が鉄道に立ち入って列車に撥ねられ、鉄道会社はこれを介護者である家族の責任として損害賠償請求を行ったのだ。
一審、二審ともに介護者による監督義務があったとして家族への損賠賠償を命じた。
だが、2016年、ついに最高裁において一審、二審を覆す逆転判決が下されたのである。
判断の焦点は責任無能力者(認知症患者)に対する監督義務者の定義と、告訴された家族における責任の有無だった。
賠償義務が問われた「妻」は要介護認定を受けた85歳だ。
最高裁は「妻」自身が長男の支援を受けるものであり、妻による介護監督は「現実的に可能なものではなかった」とした。 この判決を受けて、メディアでも活発に議論が行われた。

介護難民続出が予想される認知症患者増加予測

今後増加が予想される認知症患者の数値はこのように発表されている。
団塊の世代が全員後期高齢者となる2025年の認知症患者数は700万人を超えるものと予測。
2012年から比較して患者数は1.5倍にまで膨れ上がると言う。
患者1人に対して、十分なケアを行うためには複数の人間が必要だ。1人に対して倍以上の人員が必要になると考えた時、人口分布で最大のボリュームを維持している団塊の世代に対して、地域医療が体制を維持できるかはなはだ疑問である。

作業療法士の拡充と地域への職場回帰を

医療の知識や技能を備えていない一般人にとって、特殊な対応を必要とする認知症患者をケアし、しかもそれを日常的に継続することはあまりにも大きすぎる負担だ。
日本人は夫婦共働きで家計を支える世帯も多いので、家族の誰かが要介護者になった結果、一方が退職せざるを得なくなり、家計が貧窮する危険も考えなければならない。
多角的に状況を分析すると、地域包括医療構想の完成には巨大な壁が立ちはだかっていることが分かる。
医療の負担を一般人に求めるのはある部分においては致し方ないだろう。しかし、責任をすべて保護責任者に分配するべきではない。
日本の医療制度を維持するためには、こうした「瀬戸際」を守る手が必要なのだ。
作業療法士はリハビリ施設や老人保健施設だけでなく、家庭に入っていく派遣業者でも求められている。
家族の負担を軽減し、患者の認知症増悪を防ぐ。
作業療法士の担う領域が、これからの地域医療を守るセーフティネットの重要な役割を果たすことになるだろう。

公開日 :2016.04.26 更新日 :2021.10.06

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