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障害や高齢などで耳が不自由な人にとって、舞台鑑賞や映画での音声で伝わるセリフのような情報は取り入れることが難しく、そのため、物語の進行を理解することは困難になっている。
聴覚・視覚障害者らへの観劇支援に取り組むNPO法人「シアター・アクセシビリティ・ネットワーク(TA-net)」(東京都世田谷区)が聴覚障害のある人20歳代以上の男女を対象(185人)に行ったアンケート調査の結果によると、「舞台鑑賞に行ったことがない」と答えた人は約3割(66人)に上る。その主な理由には、「手話通訳や字幕がないから」「セリフが聞き取れず、内容の理解が難しい」などが挙げられた。
このような耳が不自由な人でも舞台鑑賞や映画を楽しめるよう、音を文字や振動に変えて伝える機器の開発が進められている。
セリフや歌詞が表示される「字幕グラス」は、眼鏡型で装着して観劇すると、目線の下の方に文字が浮かび上がって見える仕組みで、物語と同時進行で内容が理解できることが期待される機器だ。
あらかじめ、台本を専用のコントローラーに読み込ませることで、装置時には、役者の声・音楽に合わせて、自動的にセリフ・歌詞などが字幕で流れる。
普段は補聴器をつけて生活しているような耳が不自由な人の場合、観劇の際は、事前に原作を読むなどで予習することで、想像で補いながら観るような方法しかなかった。しかし、字幕グラスを使用することで、共感しながら楽しめる。
補完補聴器だと、劇場など広い会場では、隣の座席に座った人の話し声など、観劇には不要な音も拾いやすいが、字幕グラスは手軽に使え、情報を補完する役割が期待できるという。
すでに字幕グラスを導入した観劇を行うシアターでは、レンタル料金1台2000円で利用できるようにしているケースなどもある。訪日外国人らが観劇する際に、英語・中国語などの多言語字幕で表示することもできる。
また、聴覚障害者は身体障害者手帳を提示することで、無料で借りられるシアターもあり、今後、全国のシアターの公演での導入が注目される。
ヘアピン型の装置の「Ontennaオンテナ 」は、髪の毛を震わせることで音を伝えるユニークな機器だ。
内蔵マイクが拾った音を約260段階の振動に変換され、装着した人がリズムや音の大きさを感じられる仕組みだ。
そのデザイン性の高さも特徴で、製品化に向けて楽器の演奏・ダンスなどを教える特別支援学校で、聴覚障害の子どもに装着してもらい、感想を聞くなどして改良が進められている段階だという。
イヤリングやネックレス型も検討されており、今年度中の製品化が期待される。
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