言語や聴覚分野の脳活動計測を可能にするウェアラブル機器

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言語聴覚士がリハビリテーションを請け負う患者の病態はさまざまだ。
中には声を発することができないながらも、脳の活動が保たれているケースもあるだろう。しかし、意思を表現できない患者の状況は容易にくみ取れるものではない。
通り一遍のリハビリ業務に終始してしまい、回復の可能性がある患者から希望を遠ざけている可能性もある。
日本人全体の中で高齢者の割合が高くなり、介護の負担が周囲に重くのしかかる今、いかにして患者本人の機能を維持するかが問われるようになった。日立ハイテクノロジーズと日立国際八木ソリューションズが開発したウェアラブル脳活動測定器は、必需に基づいて企画開発されたのだ。

脳活動測定器の運用によって分かること

光トポグラフィ技術とは、多チャンネルにおける近赤外線分光を行うものである。 この技術を用いて脳の活動領域や活動量を可視化する、それがこのウェアラブル脳活動測定器が開発さ
れた目的だ。
これまで脳機能の判定は、患者の反応から推測したり、大掛かりな装置を使用したりするほかなかった。
ウェアラブル機器の運用によって、家庭の中で介護されている患者に対しても科学的な診断を行えるようになるだろう。
結果として、希望を断たれる患者もいるかもしれない。
だが、症状の詳細に合わせたケアを選択できるようになるはずだ。
認知症患者を始め、うつ病患者などにも運用によるメリットが期待できる。

的確なリハビリテーションを実施するために

数値によって病状を判定できるようになると、リハビリテーションの選択指標が明確になると考えていい。
問診や観察による機能レベルよりも確実な「基準」になり得る。
ただし、測定器の運用実施に際していくつかの取り決めが必要になるだろう。
まず、ウェアラブル光トポグラフィ測定器を使用する条件の設定だ。
機器の特性上、測定する数値は「絶対値」ではない。
あくまで相対的な数値である。
基準となる値は安静状態の数値から導き出し、これに別の時点、別の条件で測定した数値を照らし合わ
せて変化を探るのだ。
脳に張り巡らされた血管のルートは人それぞれ異なり、また、光の飛行経路も違う。
基準値からの変化を正確に読み解く能力が不可欠だ。そして、患者のために保険適用であることも重要だろう。
【言語優位半球の同定】
【てんかん焦点測定】
これらの項目で保険点数が付与される。
ただし、先進医療として認められた【光トポグラフィ―検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助】については保険点数が付かない。
見た目からは測れない患者の状態を明らかにできることから、機器運用には大きなメリットが期待できる。まだまだ保険適用内での運用は道が限られているが、リハビリテーションを必要とする患者と患者家族を第一に考えて運用を検討してほしい。

公開日 :2016.04.19 更新日 :2021.10.06

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