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九州大学は1月15日、王子田彰夫氏(同大薬学研究院教授)、進藤直哉氏(同助教)、小野眞弓氏(同教授)、大戸茂弘氏(同教授)、山口泰史氏(長崎国際大学薬学部教授)、桑田啓子氏(名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所助教)、浜地格氏(京都大学大学院工学研究科教授)らの研究グループによって、化学反応でタンパク質の機能を阻害する新しい分子デザインを見出し、これを応用して「強い薬効」と「高い安全性」を併せ持つ抗がん剤が開発可能であることを発見したと発表した。
研究成果は、英科学雑誌「Nature Chemical Biology」に1月14日付けで公開された。
一般に、低分子化合物の薬剤は、「病気の原因となるタンパク質の機能を阻害する」ことによって効果を発揮している。
その中でも、「コバレントドラッグ(共有結合阻害剤)」は、化学反応によって原因タンパク質と結びつくことで、その機能を不可逆的に阻害するもの。
開発例は少ないか、強力な薬効が持続することが期待できるため、近年、抗がん剤の開発で注目を集めている。
しかし、一方で、この「コバレントドラッグ」は、標的以外のタンパク質と非特異的に反応することがあり、副作用を起こす可能性も懸念されていた。
今回の研究では、このような「コバレントドラッグ」の非特異反応による副作用のリスクを軽減できる新しい分子構造である「CFA反応基」を見出した。
さらに、これをコバレントドラッグ型の抗がん剤開発にも応用。
「CFA反応基」を有した抗がん剤は、既存のコバレントドラッグよりも高選択的に標的タンパク質と反応して、その機能を特異的に阻害したことを確認。
また、マウスを用いた投与試験では、強い薬効と低い毒性が確認された。
今回の研究結果では、その他にも、「CFA反応基」が広い濃度範囲にわたって標的タンパク質に対する反応特異性を維持できること、非特異反応が可逆的であることなど、従来の反応基とは異なる優れた特性を複数持つことなども見出した。
今回の研究によって開発された「CFA反応基」を用いるコバレントドラッグデザインは、今後、がん治療薬にとどまらず、様々な疾患の治療薬開発への応用が期待される。
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