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次世代型の抗体医薬品として期待される「二重特異性抗体」。がん細胞と免疫に関与するT細胞を架橋でき、従来とは異なる作用機序でがん細胞を傷害できるのが特長だ。
近年、その高い親和性・特異性から免疫機構を司る「抗体」分子は、がんなどの治療薬の開発が進んでいる。しかし、医薬品の IgG 抗体の分子量は 「150kDa」 と非常に大きいために、腫瘍に対する浸透性が低い。
その点で、二重特異性抗体は、通常の IgG 抗体よりも分子量が小さく、腫瘍に対して高い浸透性を有するため、『T細胞の利用』という従来とは異なる作用機序でがん細胞を傷害することが期待されている。
東北大学では6月9日、熊谷泉氏(同大学名誉教授)らの研究グループが、がん細胞に対して効果的に傷害し、治療薬として有望な組み換え抗体分子を簡便にスクリーニングする手法の開発に成功したと発表した。
同研究成果は、6月6日付けの「Scientific Reports」(電子版)で掲載されている。
二重特異性抗体の一種である「ディアボディ(diabody)」は、がん細胞結合抗体とリンパ球結合抗体の分子認識部位のみから構成される低分子の抗体で、「小型」・「高い薬効」の特長が知られている。
しかし、組み合わせによっては薬効が変化してしまうため、高薬効型ディアボディの創出のためには、2種の抗体を組み合わせた網羅的なディアボディを作製することによって、そのライブラリから簡便で効率的に高薬効型をスクリーニングする手法の開発が求められていた。
今回、同研究グループでは、発現遺伝子ベクターの効率的な作製法・組み換え抗体の簡易的な精製のみを介した簡便な薬効評価法を開発して、抗体の組み合わせの網羅的な検討を可能とするプロセスを構築。
実証実験では実際に100を超えるディアボディを網羅的に作製し、開発した薬効評価法を用いてスクリーニングを実施。その結果から従来よりも1,000倍高い薬効を示すディアボディの創製に成功した。
また、同研究グループでは、スクリーニングで選抜された高薬効型ディアボディ群の諸特性について比較した結果、「LH型と呼ばれる構造設計がより高薬効を発現」、「効果的に薬効を発現できるエピトープ(抗原の一部分)が存在」、「(リンパ球に対する結合力より)がん細胞に対する結合力の方が薬効発現に重要」など、薬効発現に大きく関与する薬効ルールを見出すことにも成功した。
これによって、今後は「組換え型がん治療抗体」のさらなる開発の進展も期待できるという。
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