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散漫性・物忘れ(不注意)やそわそわしたり、落ち着きがない(多動性・衝動性)などを特徴とした発達障害の「ADHD」。
アメリカでは現在、この「ADHD」向けに主に処方されるのは精神刺激薬になるが、その中枢興奮作用や精神依存性、薬剤耐性などが課題となっている。
大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、樋口達夫社長)では3月3日、同社の100%子会社である大塚アメリカインクが、開発中の成人・小児向けのADHD治療薬「センタナファジン」を保有するNeurovance, Inc.(ニューロバンス社、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、ジェフ・ベイリーExecutive Chairman & CEO)を完全子会社化することに合意したと発表した。2017年第2四半期までには買収完了する予定としている。
ニューロバンス社は2011年にEuthymics Bioscienceから独立し、開発中の成人・小児のADHD治療薬「センタナファジン」を保有している。同剤は、ノルエピネフリン、セロトニン、ドパミンの再取込を抑制する「トリプル再取込阻害」という作用機序を持っている。
アメリカ国内で実施された臨床第2相後期(P2b)試験(成人ADHD患者を対象とする)では、ADHD評価スケールが有意に改善していることが認められ、現在では臨床第3相試験に向けての準備が進めれている。
ADHD治療薬では、現在処方されている刺激薬と同等の有効性を持つことに加え、乱用の懸念が少ない非刺激薬のような忍容性(患者が副作用に耐えること)のある薬剤の開発が求められており、この「センタナファジン」は、トリプル再取込阻害というユニークな作用機序を持っていることで期待されている。
今回、大塚製薬では買収のために持株会社の傘下に特別目的会社を設立。今回の買収が完了すると、ニューロバンス社は大塚アメリカインク社の完全子会社となり、特別目的会社がニューロバンス社の存続会社となる予定だ。
また、大塚製薬では新たな中枢神経領域の強化に向けたポートフォリオを得られるとしており、この「センタナファジン」の開発実施を含めた中枢神経、がん、循環器・腎領域を最重点とした治療薬の研究開発を進めていく方針も示している。
買収の対価としては、大塚製薬がニューロバンス社株主に対して100百万米ドルを買収完了時に支払うことで合意している。
さらに将来的には、大塚製薬がニューロバンス社に対して「センタナファジン」の進捗に応じた開発マイルストンとして最大150百万米ドルを支払うとともに、発売後には同薬剤の売上高に応じて販売マイルストンを支払うとしている。
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