米ファイザー社の腎細胞がん(RCC)の術後補助治療薬、無病生存期間が1年以上延長

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デンマーク・コペンハーゲンで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)2016(2016年10月7〜11日に開催)の会長シンポジウムで米・ファイザー社が腎細胞がん(RCC)の術後補助療法治療薬「スーテント(R)」(一般名:スニチニブ)の検証を目的にした治験(第3相試験)の結果を報告した。

それによると、RCCの外科的切除後の高再発リスク患者で無病生存期間(DFS)がプラセボ比で1年以上延長したという

RCCは、成人の腎臓にできる悪性腫瘍で最も多く見られるがんだ。国内では50〜70歳代で多く、10万人中4 ~5人ほどの割合で発症していると言われる。また、喫煙者や肥満体型・高血圧の成人は発症しやすいことが分かっている。

50〜70代の中高年に多い腎細胞がん(RCC)

RCCは比較的ゆっくり進行するタイプのがんだが、50〜70代の中高年に多く見られる。また腫瘍血栓傾向が強く、他の臓器への転移も生じやすい。喫煙や肥満、高血圧などの生活習慣が見られる人に多いとされる。 遺伝により発生しやすい家系もあり、遺伝子解析技術により、将来的にRCCにかかるかどうかを予測することが出来るようにもなっている。しかし、予防法や治療法などは確立しておらず、そのメカニズム解明の研究が行われている。

ファイザー社が術後補助療法治療薬の検証、第3相S-TRAC臨床試験

今回同社は、腫瘍増殖や血管新生に関わる複数の受容体チロシンキナーゼ(血管内皮成長因子受容体(VEGFR)と血小板由来増殖因子受容体(PDGFR))を標的とする経口マルチキナーゼ阻害剤「スニチニブ」をRCCの術後補助療法治療薬としての承認を目指して、第3相S-TRAC臨床試験を実施していた

「VEGFR」と「PDGFR」は、多くのタイプの固形腫瘍でも発現することが分かっている。腫瘍の成長には血管、酸素、栄養の獲得が必須だが、これらはそのプロセスにもなる血管新生で重要な役割を果たすとされる。

腎切除後のRCCの高再発リスク患者で無病生存期間(DFS)が1年以上延長

同治験では、腎切除後の再発リスクか高いRCC患者(615人)を対象にして、術後補助療法として1日あたり50㎎の「スーテント」を4週間投与してプラセボと比較検討し、その後2週間は休薬するスケジュールを組んでおり、そのスケジュールを疾患の再発や二次悪性腫瘍の発生、有意な毒性、同意撤回などで中止する治験者を除いて1年間続けた。

その結果、疾患再発までの期間の中央値は「スーテント」群では1.2年延長され、再発リスクも24%減少した(独立中央審査委員会の評価)。つまり、同試験で「スーテント」の既知の安全性プロファイルが改めて認められる結果になった。また全生存期間(OS)解析にはさらに追跡期間を要するという。

一方で、有害反応として「疲労感」、「無力症」、「発熱」などが報告されており、プラセボの3倍近い割合でグレード3以上の有害事象も認められている。(治療毒性に起因する死亡例は報告されていない)

同社ではこれらの試験結果に基づいて、今後の同治療薬の検証の方針も含めて各国の規制当局と協議するとしている。

公開日 :2016.12.16 更新日 :2021.10.06

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