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特定疾患(難病)の1つである原発性骨髄線維症は、貧血状態など症状のある「血液がん」で、有効な治療法はなく、その予後は平均生存期間が5年に満たないと大変悪い。高齢者に多いがんであるが、骨髄移植も適応ドナーがいないために難しいのが現状だ。
千葉大学と熊本大学は7月12日、岩間厚志氏(千葉大学大学院医学研究院教授)と指田吾郎状態(熊本大学国際先端医学研究機構特別招聘准教授)の研究グループがこの原発性骨髄繊維症の解析を行い、発症メカニズムに関連するがん遺伝子への遺伝子治療薬の有効性を確認したと発表した。
同研究成果の論文が、米国学術誌「The Journal of Experimental Medicine」に発表されている。
65歳以上の高齢者に多いとされている原発性骨髄繊維症は、骨髄の線維化や造血障害を引き起す病気だ。
10万人あたり2人以下が発症する特定疾患(難病)であるものの、その予後は極めて不良である。発症後に感染症や出血が原因となって白血病を発症することも多い。
この原発性骨髄繊維症を発症した約半数の患者には、JAK2キナーゼの活性化変異(遺伝子変異)が起こっており、エピゲノム制御因子(EZH2遺伝子・TET2遺伝子)の変異がその悪性度と関連していると言われる。
今回、研究グループではJAK2変異体とEZH2変異体の両方をもつ遺伝子改変マウスを作製して、悪性度の高い骨髄線維症マウスを再現している。
さらにこの骨髄線維症マウスから造血細胞を採取して、遺伝子発現とエピゲノム変化(遺伝子の働きが変化する様子)を解析したという。
その解析結果から複数のがん遺伝子候補を含む200以上の遺伝子の活性化が確認され、その中で「HMGA2」などを骨髄線維症のがん遺伝子として同定した。
このがん遺伝子「HMGA2」を造血細胞に強制発現させることで、骨髄線維症の病態の一部を再現することにも成功したとしている。
さらに同研究グループでは、がん遺伝子の発現を抑制するため、骨髄線維症マウスにブロモドメイン阻害剤を投与したところ骨髄線維症の進行が抑制される効果があることを確認。既に臨床応用されているJAK2キナーゼ阻害剤と併用することでさらに効果が見込めるかが注目される。
また今後は、原発性骨髄繊維症のより詳細な発症メカニズムを解明することにより、現在の治療法では適応がない高齢者患者への新しい治療法の開発および臨床応用が期待できそうだ。
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