血液がん治療に皮膚がんの治療薬が効果、佐賀大

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白血病、悪性リンパ腫などのいわゆる「血液がん」の患者に対して、治療のために骨髄を移植しようとすると免疫異常を引き起こすことがある。この免疫異常は、下痢や皮膚病、肝臓障害などを招くため、患者の中にはこれらの合併症を危惧するため治療に専念できないという問題があった。

今回、佐賀大医学部の研究チームがこの「血液がん」治療における免疫異常の抑制に「皮膚がん」の治療薬が有効であることをマウス実験により世界で初めて発見したという。その研究成果が、7月7日付けの米科学誌「JICインサイト」(電子版)に掲載されている。

血液がん

白血病や多発性骨髄腫、悪性リンパ腫は『三大血液がん』とも呼ばれ、中でも悪性リンパ腫は、胃がんや大腸がんなどの五大がんについでは発症頻度の多いがんになっている。

これらの「血液がん」は、異常遺伝情報の蓄積により起こるとされるが、その原因は放射線やウイルスの他、様々な影響が関係していると考えられているものの多くの場合は原因がはっきりしないことが多い。

その治療では、近年のがん治療法の進歩によって、がん細胞やその環境に特有の遺伝子・分子異常に標的を定める「分子標的薬剤」による治療などが行われるようにもなってきている。その一方で、それによる新たな副作用や薬が高額であることなどの問題も抱えている。

免疫異常の防止とがんの再発防止の両立が課題に

血液がん治療における骨髄移植では、骨髄液などに含まれる造血幹細胞を提供者(ドナー)から血液がん患者に移植する場合、相性が悪ければドナーの白血球が患者の正常細胞を攻撃する「移植片対宿主病(GVHD)」を引き起こす。これがいわゆる免疫異常の状態で、下痢や皮膚病、肝臓障害などの合併症を発症してしまう。

一方、GVHDを軽減するために免疫抑制剤を投与するとがん細胞を攻撃するドナーの白血球の力も弱めてしまい、がんが再発する恐れがあるため、GVHDを抑制すると同時にがんの再発を防ぐ治療の実践が課題となっていた。

そこで今回、同研究チームでは皮膚がんの「悪性黒色腫」の治療薬として日米両国で承認されている「トラメチニブ」に着目

マウス実験で通常の免疫抑制剤に代えてトラメチニブを与えたところ、脱毛・下痢が抑制されるとともにがん細胞も増殖せず、マウスの生存期間が延びたという。

臨床実験を経て5〜10年以内の実用化

同研究チームでは今回の研究結果を基に、これまで合併症の発症などを危惧して治療をためらっていた患者にも新しい血液がん治療として治療を促せるよう早期に臨床試験を開始して、5~10年以内の実用化を目指すとしている。

また、将来的には腎移植や肝移植などの骨髄以外の臓器移植においても、それぞれ免疫異常の防止に応用できる可能性があるとしている。

佐賀大学医学部附属病院では、今回の研究チームの一員である進藤岳郎助教(同大医学部血液内科学)などの血液専門医によるインターネット動画配信「もっと知ってほしい血液のがんのこと」でも血液がんに関する情報を提供している。

公開日 :2016.09.09 更新日 :2021.10.06

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