難病「脂肪萎縮症」への理解を深めるメディアセミナー開催

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約100万人に1人に発生するという稀少疾患で、平均寿命は30~40代と極めて予後不良である難病「脂肪萎縮症」
この疾患を抱える患者には重度の糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝などの糖脂質代謝異常が頻繁に見られるが、インスリン抵抗性が強いために従来の経口血糖降下薬での治療では効果がなく、さらに大量のインスリンを使用しても十分な血糖コントロールを得られないことが多い。
また診断や診療に関する情報も少なく、患者の治療環境は十分に整備されていないという。
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、手代木功社長)は12月8日に、脂肪萎縮症を抱える患者や疾患への理解を深めてもらうメディアセミナーを都内で開催した。
脂肪萎縮症の臨床研究の第一人者である中尾一和氏(京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター特任教授)が講演を行った。

ES細胞(胚性幹細胞)

脂肪萎縮症は様々な原因から全身性・部分性、もしくは限局性で脂肪組織が減少・消失する疾患だ。
難治性の糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝などの合併症を引き起こすという特性を持っている。
また出生後から幼児期~小児期、遅くとも思春期までに発症することが多いが、脂肪萎縮症への特効薬はまだ確立されていない。2015年には「指定難病」にも追加されている。
近年、本来脂肪細胞から分泌されるホルモンである「レプチン」の欠乏が脂肪萎縮症の病態形成に重要な役割を果たしていることが分かった。 このレプチンは食欲抑制やエネルギー消費を促進し、血糖コントロールのためのインスリンの作用増強など、糖代謝や脂肪代謝における役割がある。
脂肪萎縮症患者へのレプチン補充によって糖尿病、高中性脂肪血症、脂肪肝などが顕著に改善されることも明らかになっている。

来年に診療ガイドライン運用

京都大学では脂肪萎縮症に対する治療薬としてのレプチンの薬事承認を目指して、2010年11月から「メトレレプチン(遺伝子組み換え型レプチン)」を用いて治験の準備から管理まで医師自らが行う医師主導治験を開始してきた。
2013年3月にはこのレプチンの医師主導治験において国内初の教育・研究機関での医師主導治験からの国内外未承認薬の薬事承認を得ている
しかし、同セミナーにおいて中尾氏は「診断した経験のある医師が少ないこと」を課題に挙げている。
患者の治療環境の整備に向け、同氏が理事を務めている日本内分泌学会では「脂肪萎縮症診療ガイドライン」を作成中で、来年の運用を目指している。

医師同士の情報共有、患者の治療環境の整備が課題

また、同氏が理事長を務めている認定NPO法人日本ホルモンステーションでは、患者への脂肪萎縮症の啓発活動に取り組んでおり、今後は疾病に関する質問を投げかけるなどして医師同士が交流できるシステムを構築することを目指しているという。
医師から寄せられた質問内容を他の医師が閲覧できるようにすることで疾患への理解を広げ、医師の知識が増えることでまだ診断されていない潜在的な脂肪萎縮症患者の発見にも役立てたい考えだ。
また患者が適切な治療を受けられるように疾病への理解や治療環境の整備が望まれているとしている。

公開日 :2016.02.22 更新日 :2021.10.06

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