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韓国・ソウル国立大学ポラメ医療センターの研究グループによって、発症後早期のパーキンソン病患者において眼の「網膜」が薄くなっており、網膜が薄くなるほどパーキンソン病の重症度が高まることが明らかになった。
同研究グループでは、将来的に「眼の画像検査」によって、パーキンソン病の運動症状が現れる前段階で同疾患を発見できるようになるかもしれないとしている。
同研究結果は、8月15日付けの「Neurology」(電子版)に発表された。
パーキンソン病患者では、脳内の「黒質」と呼ばれる部分のドーパミンを産生する神経細胞が失われることが分かっている。
しかし、パーキンソン病の原因はいまだ完全には解明されていない。
主な症状としては、「手足のふるえ(振戦)」、「筋肉のこわばり(固縮)」、「動きの鈍さ(無動)」、「身体のバランスが保てない(姿勢反射障害)」、「歩行障害』などがあるが、その一方で、『眼の問題』についてはあまり知られていなかった。
近年では、パーキンソン病患者の多くで、『色の識別能力』が低下することや、視界のぼやけ、文字が読みにくいなどの症状が報告されている。
このような症状は、パーキンソン病な発症後すぐの早期段階では軽微であるものの、進行に伴い、はっきりと現れるようになるとも言われている。
2017年には、パーキンソン病の早期の徴候としての『視覚の変化』があるとの研究報告が発表され、この『視覚の変化』は、運動障害が出現する10年以上も前に先行して現れることも明らかにされた。
今回、同研究グループでは、約2年前にパーキンソン病と診断されたが薬物治療は開始していない患者49人(平均年齢69歳)及び、対照群として、同年齢層の健康な成人54人を対象にして、画像検査(光干渉断層計、OCT)で網膜(眼の奥にあり光を感じる部位)の厚さや容積を測定する研究を実施。
また、パーキンソン病患者49人中28人には脳画像検査(MRIなど)を実施し、黒質のドーパミン産生細胞の濃度を測定した。
研究結果からは、対照群と比較して、パーキンソン病患者群では、眼の奥にあり、光を感じる部位である「網膜」の厚さが薄くなっていることが分かった。
10層から成る網膜のうち、内側の2層は特に菲薄化が進んでいたという。(最も内側の層の特定の部分の厚さの平均値は、対照群37μm、パーキンソン病患者群35μm)
網膜が薄くなることは、黒質のドーパミン産生細胞の脱落とも関連し、網膜が薄くなるほどパーキンソン病の重症度か高まることも明らかになった。
現状では、パーキンソン病の進行は、臨床症状に基づいて予測するしかない。しかし、今回の研究結果から、将来的には「眼の検査」により、症状が現れる前にパーキンソン病の進行や合併症を予測できることが期待される。
今後は、より大規模な研究での検証が必要となり、網膜の菲薄化とドーパミンを産生する神経細胞の脱落との関連要因についてもより詳しい研究が求められる。
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