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PCやスマホ、タブレットなどの長時間の使用増加に伴って増えている目のトラブルが「ドライアイ」だ。コンタクトレンズの使用によってドライアイが発生するケースもある。
国内では、約10人に1人の割合でこの「ドライアイ」の患者がいると推定される。
ドライアイを防ぐのに必要になるのが「涙(涙液)」だ。「涙」は、脂質層(油層)・水層・ムチン層の三層から構成されるが、最も外側にある脂質層が液の蒸発の防止や感染の防御、涙の表面張力の低下に重要な役割を担っている。
また、水層は角膜への水・ 栄養の供給や感染の防御、ムチン層はタンパク質「ムチン」が多く粘性が豊富で、涙を角膜の表面で安定化させている。
北海道大学は1月18日、木原章雄氏(同大北海道大学大学院薬学研究院教授)らの研究グループが、マウス実験によって、ドライアイの防止には『脂質の長さ』が重要であることを解明したと発表した。同研究成果は、「FASEB Journal」に掲載されている。
涙の脂質(マイバムとも呼ばれる)は、まぶたの裏側(マイボーム腺)から分泌されるが、ドライアイの約8割を占める原因になっているのが、脂質層の異常(マイボーム腺機能不全)であることが分かっている。
一方で、脂質層を標的にした薬剤などは存在していない。
マイバムは、鎖のような分子で、主成分はコレステロールエステルとワックスエステル、マイバムの炭素鎖長は「C20-C34(炭素の数が20~34個)」と極めて長い。
今回、同研究グループでは、脂質の炭素鎖長が短いマウスとして、脂肪酸の鎖長を伸ばす酵素・ELOVL1の遺伝子(Elovl1)が表皮以外で欠損しているマウスを作成。
このELOVL1遺伝子欠損マウスの目では、若齢期からドライアイになり、5ヶ月齢以降では角膜の混濁も確認された。また、マウスの「C25以上」の長さを持つマイバムは減少し、短いマイバムが増加していたという。
今回の研究結果から、ドライアイを防止するためには涙の脂質の長さが重要であることが初めて示された。
同研究成果によって、ドライアイの防止に『極長鎖マイバム』が重要であることが明らかとなったことで、『極長鎖マイバム』の産生・分泌を増やす薬剤、『極長鎖マイバム』を含んだ目薬などの開発を行うことで、ドライアイ治療・予防の新たな薬剤開発にもつながることが期待される。
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