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糖尿病網膜症や網膜剥離、黄疸疾患、ぶどう膜炎などの網膜の様々な疾患を対象にした硝子体手術は、眼球の硝子体(透明なゼリー状組織)を切開する難易度の高い手術だ。
従来の硝子体手術では、手術後に人工硝子体液やガス・シリコンオイルなどの材料を眼内に入れるケースがあるが、ガスやシリコンオイルといった材料は疎水性で生体適合性は低いために、眼内での長期使用には適していないとされている。
筑波大学では3月10日、酒井崇匡氏(東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻准教授)と岡本史樹氏(筑波大学医学医療系眼科学講師)らの研究グループが、長期埋め込みが可能な人工硝子体の開発に世界で初めて成功したことを発表した。
同研究成果は、3月9日付けの医用生体工学の専門誌「Nature Biomedical Engineering」に掲載されている。
硝子体手術では、その手術終了時に「人工硝子体液」を注入する他、網膜剥離などでは「長期滞留ガス(あるいは空気)」や「シリコンオイル」を注入するケースもある。
これらでは、ガスは気体であるため数日〜数週が経過すれば眼内で産生される房水(眼球の体液)に置換するが、シリコンオイルを注入した場合は、1~2か月後に抜く再手術を要する。そのため、長期的に安全な置換を可能にする人工硝子体材料の開発が望まれていた。
生体軟組織に似た組成を持つ材料としては、「ハイドロゲル」が挙げられ、また注射で生体内に埋植可能で、その後ゲル化する「インジェクタブルゲル」も医用用途への応用が注目されている。
しかし、生体内でのゲル化の誘起反応によって周辺組織に刺激を与えるため、周囲の水を吸い込みながら膨らんで周辺組織を圧迫するなどの問題があり、眼科領域での応用についてはまだ成功例はなかった。
「ハイドロゲル」の成分は高分子と水だが、高分子は毒性を発揮する可能性がある。今回同研究グループでは、ゲル作製から分解までの全ての期間で、周辺組織に影響を及ぼさないレベルまで膨潤圧を低減(1kPa以下)。さらに高分子濃度を極限まで低減し、1%以下という極めて低い高分子濃度でのハイドロゲル作製を行った。
同研究結果から、ゲル化過程を含めて容認可能なレベルまで周辺組織への毒性・刺激性を低減することに成功した。液状のまま眼内注入し、生体内部で速やかにゲル化する技術を世界で初めて開発した。
さらに同研究グループは、今回開発した技術を動物モデルに用いて、ハイドロゲルによる網膜剥離の長期治療も行い、人工硝子体として長期(1年以上)でも副作用はなく使用することができたという。
高分子濃度を1%以下まで下げた場合、一般的には注入後のゲル化に必要な時間が大きく遅延することで実用化は困難になる。しかし、今回同研究グループでは、新たな分子設計をすることで「10分以下」でゲルを作製することも可能にしたという。
これまでの網膜疾患の手術治療では、長期埋植に向かないガスやシリコンオイルなどの材料が用いられていたことで、患者は入院して1週間程度うつ伏せの体位を強いられることや、数か月後に抜去を含む再手術を受ける必要などの大きな負担があった。
しかし、新開発の人工硝子体では、これまでのうつ伏せ管理や再手術の必要はなくなり、将来的には網膜疾患の治療が『日帰り』でも可能になる画期的な治療法の開発も期待できそうだ。
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