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インフルエンザ到来のシーズンは真っ只中となったが、ワクチン接種は、インフルエンザによる感染・死亡を防ぐ最も有効な方法だ。
しかし、シーズン前の予測と異なる型のインフルエンザウイルスが流行すると、ワクチンの感染防御効果が限定的になってしまうことがある。
また、ウイルスは絶えず変化しているため、流行が予測されるウイルス株に合わせたワクチンが製造されているが、これを毎年接種する必要もある。
このような毎年の「流行予測に基づいたワクチン」を接種するのではなく、幅広い型のインフルエンザに対応する「万能(universal)ワクチン」を使用する研究が進んでいる。
米・ジョージア州立大学(生物医科学研究所)の研究グループでは、作製した「万能ワクチン」が様々なタイプのA型インフルエンザウイルス株に対する防御効果が認められたことを報告した。
同研究成果は、「Nature Communications」1月24日号に論文が掲載されている。
同研究グループでは、あらゆるA型インフルエンザウイルスに対する感染防御効果があり、毎年新たに製造したり、接種する必要がない「万能ワクチン」の開発を試みてきた。
従来の季節性インフルエンザワクチンは、ウイルス表面にあるタンパク質(ヘマグルチニン;HA)の「頭」の部分に結合するように作製される。しかし、この頭の部分は絶えず変化するため、毎年の予防のためのワクチンを製造するには「動く標的」となっている。
これに対して、「万能ワクチン」では、「頭」より深い領域にあり、変化しにくいHAの「茎」の部分を標的として作製。この「茎」の部分は、あらゆるインフルエンザウイルスに共通するもので、様々なウイルス株に対して感染防御効果が得られるのだという。
今回、同研究グループでは、HAの「茎」の部分を標的とした「ナノ粒子」を用いたワクチンを作製した。
「ナノ粒子」は、極めて微小なタンパク質だ。
マウスによる実験の結果、幅広いA型インフルエンザウイルス株(H1N1型、H3N2型、H5N1型、H7N9型)に対する防御効果が認められた。
今回の研究は、マウス実験で成功した段階のもので、ヒトを対象とした臨床試験でも成功するとは限らないものの、「万能ワクチン」実現の期待が高まる。
同研究グループでは、ヒトへの応用に向けて、さらに研究を重ねる必要があるとしており、次の研究段階としては、フェレット(よりヒトに近い呼吸器系を持つ)を用いた実験を予定している。
例年、インフルエンザの流行シーズンに主に流行するのは「A型インフルエンザ」であるため、臨床試験が成功すればインフルエンザの大部分を予防できるようになることも期待される。
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