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2017年のノーベル医学・生理学賞は、生物の体内時計をコントロールする「時計遺伝子」の仕組みを発見した米国のジェフリー・ホール氏(米ブランダイス大名誉教授)、マイケル・ロスバッシュし(同大教授)、マイケル・ヤング氏(米ロックフェラー大教授)の3氏に贈られた。
日本の研究者による生理学・医学賞の3年連続受賞とはならなかった。今回の授賞理由となったのは、「概日リズムを制御する分子メカニズムの発見」だ。
人を含めた地球上のほとんどの生物は、太陽の動きに合わせて「概日リズム」によって、体温調節や血圧の上昇、ホルモンの分泌、睡眠の深さなど、身体の様々な生理機能を制御しており、体内時計が人の体調に及ぼす影響は大きい。
例えば、海外旅行でこのリズムが狂うと「時差ぼけ」の状態に陥るが、不眠症のような睡眠障害やうつ病などの病気にもつながるとされる。
そのような病気との関わりの解明のために、近年では世界中で体内時計の研究が進んでいる。
1970年代に体内時計が遺伝子によってコントロールされていることが分かり、時計遺伝子の探索競争が開始。
今回受賞した3人は、1984年にショウジョウバエによる実験で「体内時計を司る遺伝子」を発見し、その仕組みを分子レベルで解明し、この遺伝子が働かないようにすると、体内時計の機能が失われることも確かめた。
その後、1997年には日本人の岡村均氏(現京都大教授)などの研究グループが、3人がハエで発見した体内時計の遺伝子をヒトでも見つけている。
関連論文の著者として名前が挙がった近藤孝男氏(名古屋大名誉教授)は、「(ショウジョウバエの発見がなければ)私の研究はなかったかもしれない」と今回の業績を称えている。
今回のノーベル医学・生理学賞の授賞理由は、「3人の画期的な発見で『体内時計』が人の健康・福祉に影響を及ぼす重要な研究分野に発展している」ことを評価したものだという。
近年では、遺伝子解析によって体内時計が生活習慣病などの病気にも関与している可能性が分かってきている。
また、朝も夜も関係ない生活が当たり前になっている現代人特有の不眠症などの病気でも、その解明へさらなる研究の進展が期待されている。
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