自閉症児、独特の音楽の好み・美意識を持つ

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京都大学は9月26日、正高信男氏(同大霊長類研究所教授)による研究から、自閉症を持つ子ども(自閉症児)が健常児と比べて「不協和音そのものをあまり好まない」傾向があり、音楽的な効果を狙った「意図的な不協和音が使われている楽曲を長い時間聴き続ける」傾向があることを確認したことを発表した。

同研究成果は、スイス・Frontier社のオープンアクセス誌「Frontiers in Psychology」に掲載されている。

自閉症を持つ子どもは、健常児と比べ、不協和音やその楽曲中での使われ方に関して異なる反応を示し、ある種「早熟した」音楽の好みを持つことを示唆する結果だ。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の「音楽」に関する才能

自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder;ASD)は、全人口の1~2%が該当するとされる社会性・コミュニケーション能力、想像能力などの観点から診断される発達障害。

自閉症患者では、しばしば学問・芸術の分野で秀でた才能を発揮することが指摘されており、ASDに関する極めて初期の研究報告から、「音楽」に関する才能を持つ事例が報告されていた。

しかし、ASDを持つ人を対象にした過去の研究で、「絶対音感」・「調性音楽・無調性音楽の暗譜能力」などの調査が実施されているが、そのほとんどが「演奏」に関する能力についての研究で、「認知」に関しては注目されていなかった。

ASD児・健常児にさまざまな楽曲を聞かせて聴取時間を比較

今回の研究では、自閉症児がどのように音楽を聴いているのかを調査するために、ASD児19人(4~9歳)・健常児28人(ASD児と同年齢層)を対象に、さまざまな楽曲を聞かせ聴取時間を比較。

・最初の実験では、「ほぼ全編が協和音で作曲された楽曲」と、若干編曲を加え「不協和音を増やした楽曲」を用意し、実験室に準備したキーボードの特定の鍵盤を押し続けた時間のみ音楽が流れるように設定、グループによって聴取時間に差がつくのかを調査 ・実験結果では、両グループで元の協和音による楽曲を長く聞き続け、自閉症児のグループでは、不協和音を増やした曲を聴く時間が短くなる傾向も見られた。

・「不協和音をあまり含まない楽曲」2曲と、「不協和音を意図的に多く含んだ楽曲」2曲の計4曲を用意して、最初の実験と同じようにグループごとの聴取時間を比較

2つ目の実験では、自閉症児のグループが不協和音を多く含む楽曲を長時間聴き続ける傾向があることが確認された。

ASDと音楽的能力の関係をより深く理解

ADSは症状が多様なことも特徴の一つであるため、今回の実験参加者である自閉症児19人のみで結論付けることは難しいが、今回の結果は、自閉症児が健常児とは異なる音楽の好みや、一種の美意識を持っている可能性を示唆するものだという。

今後は、ASDの症状の程度によって今回の結果とは異なるのか、例えば、自閉症者の中で「優れた音楽的才能を持った人」のみで検証する場合、今回と同じ傾向になるのかなどの研究を重ねて、ASDと音楽的能力との関係をより深く理解できるとしている。

公開日 :2017.11.08 更新日 :2021.10.06

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