インスタグラムの投稿写真からAIが「うつ病」を診断
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写真や動画を共有するソーシャル・ネットワーキング・サービス（SNS）のインスタグラムに投稿される写真から「投稿者がうつ病であるかどうか」を予測する。
そんな診断法で、AIが専門の精神科医より高い確率で診断できたという報告がある。
米ハーバード大学と米バーモント大学は共同で、機械学習プログラムによって、AIがユーザーの投稿写真からうつ病の徴候を検知するシステムを開発し、7割の確率でうつ病を正確に診断できたという。
同研究結果は、8月7日付けのコンピューター科学誌「EPJ Data Science」（電子版）に掲載されている。
インスタの投稿写真が「うつ病」を診断する手掛かりに
今回、同研究グループでは、精神疾患の病歴について情報共有し、インスタグラムの投稿内容から精神状態を分析することに同意したボランティア166人の投稿写真4万3,950点を分析。（166人のうち71人が過去3年間でうつ病の既往）
機械学習プログラムによって投稿写真の特徴からうつ病を予測するAIを用いて、インスタグラムに投稿された写真を分析した結果、7割の確率でうつ病のユーザー特定に成功した。
過去の研究で、プライマリケア医がうつ病の正確な診断を行える割合は約4割と報告されており、AIによるうつ病の検出率はプライマリケア医を上回り、1.8倍近い成功率を示した。
うつ病の人の投稿写真は「青みが強く、明度・彩度が低い」
AIは投稿写真の「色相」（色の調子）、「明度」（明るさ）、「彩度」（鮮やかさ）を基準に評価したが、健康なユーザーの投稿写真と比べて、うつ病のユーザーは「青みが強く（高い色相）、低い明度、低い彩度」が特徴として見られた。
また、画像加工において、健康なユーザーが「暖色系の明るい色味に変えるフィルタ（Valencia）」を好む傾向にあるのに対し、うつ病のユーザーは「モノトーンに変えるフィルタ（Inkwell）」を好むことも分かった。
過去の研究では、うつ病の人が暗く薄い色を好むことが明らかになっているが、今回の膨大なデータからコンピューターがパターン解析でも、同様の結果となっている。
「プライバシー」の問題を克服する必要も
同研究グループでは、AIによる診断法は、医師による診断を補助する方法として位置づけられるとしている。また、使用したプログラムに追加の調整を行うことで、自殺の抑止などにも効果が期待できるという。
一方で、この方法には人権・プライバシーなどの法律上の厄介な問題も多い。
研究当初では、500人以上の被験者が集まっていたが、その多くはSNSのデータ共有に同意しなかったため、最終的に研究への参加には至らなかったという。
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