「低脂肪」乳製品でパーキンソン病の発症リスクが上昇か

公開日:
最終更新日:

脂肪の摂取をなるべく控えるために「低脂肪」とされる乳製品(牛乳やチーズ、ヨーグルトなど)を摂取することは健康的だと考えられている。

しかし、米ハーバード大学の研究グループ(T.H.チャン公衆衛生学部)によって、「低脂肪」乳製品を日常的に摂取することは、パーキンソン病の発症リスクをわずかに上昇させる可能性が示唆されたという。

同研究は米国立衛生研究所(NIH)と米国防総省の支援を受けて実施されたもので、6月8日付けの「Neurology」(電子版)に掲載された。

乳脂肪製品を多く摂取することでリスク3割以上が上昇

今回、同研究グループでは、米国の男女(医療従事者12万9,346人)を対象とした2件の前向きコホート研究(24~26年の期間追跡)のデータを分析した。

これらのコホート研究では、4年に一度の頻度で「食物摂取頻度調査」を施しており、その一方で追跡期間中にパーキンソン病を発症していたのは1,036人に上っていた。

分析結果からは、低脂肪乳製品を「1日3サービング以上(低脂肪乳でコップ3杯以上)」摂取していたグループでは、「1サービング未満」摂取していたグループと比較して、パーキンソン病を発症するリスクが34%上昇していた

また、乳製品の中で『牛乳』のみに限定した分析結果から、低脂肪乳(または脱脂乳)を「1サービング以上」摂取していたグループでは、「1サービング未満」摂取していたグループと比較してパーキンソン病の発症リスクが39%上昇していることが分かった。

「尿酸値の低下」などの第3の因子の可能性も

一方で、低脂肪乳製品を「1日3サービング以上」摂取していたのは5,830人だったのに対して、そのうち追跡期間中にパーキンソン病を発症したのは60人(約1%)、「1日1サービング未満」摂取していたのは7万7,864人だったのに対して、パーキンソン病を発症したのは483人(0.6%)でとなっているため、発症リスク全体としては低い。同研究グループでは観察研究であって、因果関係を明らかにしたものではないと説明している。

また、乳製品の摂取と疾患リスクの両方に関与する「第3の因子」がリスクを高める可能性があるという見方も示している。

例えば、パーキンソン病では、「尿酸値が高くなると発症リスクが低いこと」が指摘されているが、その一方で「乳に含まれるタンパク質は尿酸値を低下させる」との報告があり、「乳の尿酸排出」の作用が第3因子として発症リスクの上昇に関与している可能性、その他にも、農薬などが原因となった乳製品への汚染の影響などの可能性も示唆される。今回の研究で確認されたリスクをさらに広げて研究することが重要であるようだ。

高脂肪乳製品ではリスクが認められず

低脂肪乳製品で発症リスク上昇が見られた一方で、高脂肪乳製品(全乳など)の摂取量は、パーキンソン病リスクの上昇とは関連していなかった

この「なぜ高脂肪乳製品(全乳など)では、パーキンソン病リスクとの関連が認められなかったか」という点については、高脂肪乳製品に含まれている飽和脂肪酸の存在を指摘しており、「飽和脂肪酸が尿酸値の維持に役立っている」可能性があるとの見方を示した。

米国パーキンソン病財団では、この結果から急に食事を変えることは勧めず、骨の健康の維持には乳製品による十分なカルシウム摂取は重要だとしている。

公開日 :2017.08.18 更新日 :2021.10.06

看護師の新着求人情報

  • 《日勤のみ・週休2.5日・無料駐車場》東大和市のクリニック

    医療法人社団碧桐会 メディカルボックス東大和

    月給 300,000円~ ・・・

    東京都東大和市

    クリニックにおける看護師業務

     
  • 《日勤のみ・週休2.5日・無料駐車場》東大和市のクリニック

    医療法人社団碧桐会 メディカルボックス東大和

    時給 1,850円~(平・・・

    東京都東大和市

    クリニックにおける看護師業務

     
  • 《産休代替派遣求人・認知症看護の認定資格をお持ちの方を募集》・・・

    求人名非公開 ※詳細はお問い合わせ下さい

    時給 2,400円~ ・・・

    神奈川県川崎市

    病院内での正看護師業務/産休代替/日勤のみ

     

我々は「入職後の活躍」を見据えて、組織にフィットする方々をご紹介しています。
コメディカルのマッチングでは、10年以上の実績がございます。積み上げたノウハウを活かして、採用をサポートいたします。