「安心する行動」を増やすことでうつ病症状を改善

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精神障害の一種にみられる「うつ病」では、ストレスフルな現代社会では発症数が増加傾向にあると言われる。

その治療には「認知行動療法」が用いられることが一般的だが、英・エクセター大学などの研究グループが、より簡単で、費用を抑えたうつ病治療法として「行動活性化療法」が認知行動療法と同程度の治療効果を持つことを発見した。
同研究成果は今年7月22日付けの「The Lancet」(電子版)に掲載されている。

成人のうつ病治療の費用が高額に

成人のうつ病の治療では、「抗うつ剤」による薬物治療を行うほか、「認知行動療法」などの精神療法が取り組まれるのが一般的である。この認知行動療法では、患者の「考え方」に焦点を当てて、その考え方を修正することでうつ症状の改善を行おうとする。そのため、精神科における高度なカウンセリング技術を持っている専門医が患者の治療を行うことになる。

国内では、医療機関での専門医(医師)による治療は2010年以降から公的保険が適応されている治療法ではあるが、専門医以外の臨床心理士や心理カウンセラーなどの民間資格を有する専門家が行う場合には公的保険が適応されない。そのため、カウンセリング代や治療費が高額になるケースも多い

行動に焦点を当てた「行動活性化療法」に注目

一方で、「行動活性化療法」は患者の「行動」に焦点を当てており、患者の精神安定につながる行動を見つけ、その行動を増やすことでうつ病を改善するというものだ。

同研究グループによると、この行動活性化療法の導入にあたっては、高度な治療スキルを持つ専門医でなくとも精神医療従事者が最小限の治療技術を身に着けることで行えるものであり、治療費用も大幅に抑えることが出来るようになるという。

「認知行動療法」と「行動活性化療法」の効果が同程度

今回の研究では、成人のうつ病患者440人を2つのグループに分けて、「認知行動療法」と「行動活性化療法」による治療をそれぞれ行っている。

1年後の治療経過を観察したところ、両グループともに約3分の2の患者でうつ症状の50%以上が軽減することが確認された。また、両グループ間でのうつ症状のない日数や不安症の発症数に差はなかった。

しかし、治療に掛かった費用という面では、行動活性化療法を行ったグループでは20%低くなったという。

より費用を抑えたうつ病治療が可能に

今回の研究結果から、同研究グループでは「行動活性化療法」を積極的に行うことで成人のうつ病患者が治療費を抑えながら効果的な心理療法を利用できるようになるとしている。

また、従来の認知行動療法に必要な専門医のカウンセリング技術を習得する必要性も下がれば、その分の医療費の削減になるとも指摘している。

今後は認知行動療法や行動活性化療法のいずれでも効果がないうつ病患者に対して効果的な治療法があるのかという点や個人差により2つの治療の効果に違いが出ないかなどについて、さらに研究が進められることに期待したい。

公開日 :2016.10.05 更新日 :2021.10.06

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