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女性特有の病気の一つに「産後うつ」がある。これは出産によるホルモンバランスの変化や身体的な疲労、子育てへの不安・睡眠不足などが起因して、日常的に憂鬱な気分や意欲低下を引き起こすうつ病の一種だ。産後女性の10~15%は産後うつを発症するというデータもあり、そのケアが重要視されている。
愛媛大学が6月16日に公表したプレスリリースによると、愛媛大学が主導となった共同研究チーム(国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学)では、女性が妊娠中に牛乳を摂取することで「産後うつ」の症状を予防する効果があることを世界で初めて示唆した研究を発表した。その研究成果が6月3日付けの米学術誌「Nutrition Research」誌に掲載されている。
これまで、産後うつと乳製品の摂取状況の関連性について調べる疫学研究が行われたこともあったが、有意な関連は判明していなかった。
今回、共同研究グループでは、愛媛大学と琉球大学が2007年からスタートさせていた「九州・沖縄母子保健研究」のデータを基にして母親の産後うつの発症と食生活における栄養摂取状況との関連を調べた。また、同調査に参加していた母親1319名を対象として、子どもが生後3~4ヶ月時での産後うつの症状があるのかを診断している。
まず、今回の調査結果では、母子追跡調査の対象になった母親の症状の診断では、「8.2%」が産後うつを発症していたことが判明した。
一方で、産後うつのリスクと栄養摂取状況との関連性では、牛乳を全く摂取していない母親グループと妊娠時期に牛乳を最も多く摂取していた母親グループ(平均187.5g/日)を比較したところ、産後うつのリスクに2倍以上の差が見られたという。妊娠時期に牛乳を最も多く摂取していたグループは、牛乳を全く摂取していない母親グループに比べて産後うつが半減していた結果だ。
同調査では、さらに牛乳以外にも「乳製品すべて」・「ヨーグルト」・「チーズ」のそれぞれの摂取状況や「カルシウム」、「ビタミンD」といった栄養成分の摂取と産後うつリスクにおける関連性も調査しているが、そのいずれからも有意な関連は認められていない。
この結果を受けて、同研究チームでは今後、牛乳摂取と産後うつリスク低下の関連性を確証する研究データの蓄積が必要とするものの「産後うつ」になる女性が増えている社会で、牛乳という身近な飲食物との関連が示されたことは有用だったとしている。
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