内視鏡治療の練習用キットを開発、新潟大など

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早期がんを切除する手術として近年注目されている内視鏡手術。一方で医師がその手術技能を習得するには手間や費用の負担を要することが課題であった。
新潟大学(新潟県新潟市西区)では、同大医歯学総合研究科消化器内科学分野の寺井崇二教授と水野研一特任助教が携帯電話などの精密加工を手掛けるサンアロー株式会社(東京都中央区、時宗裕二社長)のサンアロー新潟工場開発部と共同で、約1年間かけて内視鏡手術の練習用キット「EndoGel」を開発したと発表した。
今回開発された練習用キットは、従来の練習方法と比較して手間や費用を削減することが可能で実際の手術時に近い感覚で模擬手術を行えるという。

新潟大病院では4000件の内視鏡治療

内視鏡は食道や胃などの消化器官にできた早期がんの治療に用いられており、内視鏡から出てくる電気メスでがんをはぎ取る内視鏡手術が行われることが増えている。近年では胃がんや胃炎などの予防・検査に欠かせないものにもなっている。厚生労働省では2016年4月から市町村が実施する胃がん検診の指針を改め、従来のX線検査に加え、内視鏡も選択肢の1つとなった。
その中でも臓器の表面にとどまる早期がんを剥がして取り除く内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は消化管がんの早期治療法として注目されている。内視鏡の大きな利点は、患者の身体への負担が軽減することで、新潟大学医歯学総合病院ではEDSを2003年に導入してからこれまでに約4000件の治療を行ってきている。 

内視鏡手術に特有の技術を習得

現在では多くの病院でこのEDS治療が可能となってきてはいるが、ESD治療の技術習得には一般的な内視鏡検査技術をベースに、消化器官を傷つけずにがんを剥離するなどのESD 特有の技術の習得が必要になるため、より高い内視鏡特有の技術を要する。
技術習得のために従来では豚を使って模擬手術が行われていたが、1回50万円の費用が掛かり、感染症の予防なども行う必要があった。また、豚は人体よりも粘膜が厚いため、手術用の電気メスの出力設定も実際の手術とは異なっていたことで、手術の再現性がさほど高くなかった。

医療機器や手術法開発のプラットフォームにも

そこで研究グループでは、縦15センチ、横10センチ程度の長方形型でゲル状の素材をもとに消化器官の粘膜や筋層などの質感を再現した練習用キットの開発に着手し、この練習用キットを使えば電気メスで切開する場面でも、ほぼ人体の場合と同じ設定での模擬手術が行えるようになるという。
また今回開発された練習用キットは、人工物であるために麻酔や感染症の予防などを必要としない。値段は約4万5000円と従来の模擬手術に掛かっていた費用の10分の1以下に抑えられるようになっている。内視鏡に限らず、医療機器の開発や効率的な手術法を開発するプラットフォーム(土台)としても役立つ可能性があり、すでに医療機器メーカーから問い合わせがあるようだ。

公開日 :2016.06.09 更新日 :2021.10.06

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