がんや脳卒中の治療と仕事の両立、厚労省が企業向けガイドライン

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これまで不治の病だった「がん」も今では治療によって「長く付き合う病気」に変化している。
一方で、本人や職場の病気への理解不足などにより「診断=離職」となるケースや「仕事などが忙しく十分な治療を受けられない」というケースが少なくない。
このような病気での離職や仕事を優先して治療をおろそかにするのを防ぐために厚労省では2月23日に、がんや脳卒中などを発症して継続的な治療が必要な場合でも仕事と治療を両立できるよう支援するために「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を取りまとめた。
企業側には職場での適切な措置や治療への配慮を行えるように、研修による意識啓発や時間単位の休暇制度、時差出勤制度などを導入するによる環境整備を行ってもらいたいとしている。

病気の治療と仕事を両立できる職場環境を

今回のガイドラインの対象となっているのは、「がん」、「脳卒中」、「心疾患」、「糖尿病」、「肝炎」、「難病」などの継続的な治療が必要な疾病。同ガイドラインでは、労働者が正社員やパートなどの雇用形態に関わらず、治療と職業生活を両立できるような職場体制を整備することが重要として、事業所に短時間勤務などの労働環境の整備を求めている。
同省の調べによると、仕事を続けながらがん治療のために通院している人は、合計32万5000人(男性は約14万4,000人/女性は約18万1,000人(2010年時点))と推計されるが、がんの5年生存率は近年では徐々に向上しており、がん治療のための平均在院日数でも2002年の約36日から2014年には約19日とほぼ半分の在院日数まで減ってきている。
さらに通院して抗がん剤などによる治療(化学療法)や放射線療法などを受けながら仕事を続けるケースも増えているようだ。
また、厚生労働科学研究による2013年の調査では、糖尿病を患っている人の1割近くが仕事の影響で通院を中断するなどして適切な治療を受けられていないという報告もある。

両立支援の基本方針の周知や相談窓口の設置など

今回発表された同ガイドラインでは、企業側には以下のような環境整備を促している。

(1) 両立支援の基本方針や対応方法などの事業場内のルールの周知
(2) 労働者、管理職への研修などを通じた意識啓発
(3) 相談・申出を行える相談窓口の設置とその個人情報の取り扱いの明確化
(4) 両立支援に関する制度・体制などの整備

両立支援に関する具体的な制度・体制では、時間単位の年次有給休暇や傷病休暇・病気休暇、時差出勤制度や短時間勤務制度、在宅勤務(テレワーク)、長期休暇後の試し出勤制度などの他、労働者から申し出があった場合の対応手順などの整備を提案している。
特に治療と仕事との両立が難しいと考えられる「がん」については、患者に対してメンタルヘルスにも十分な配慮をするよう求めている。

手術や治療期間、副作用などの情報を共有

また、がんなどの手術や治療を受ける場合では患者ごとによる個人差が大きくなるため、患者本人がその「入院や治療の期間」「合併症や副作用」「制限すべき動作」などを主治医に確認し、必要に応じて患者と医師、企業がそれらの患者情報を共有することが望ましいとしている。 またメンタルヘルス不調に陥る場合も考慮して、企業側は産業医や保健師、看護師などの産業保健スタッフなどと連携して適切に配慮することや、患者本人は同僚や上司などにも必要な程度で情報提供して、自分だけでは解決できないことなどでは周囲の理解を得ることが望ましいとしている。

公開日 :2016.04.21 更新日 :2021.10.06

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