電子カルテの不正閲覧で患者が慰謝料請求

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大崎市民病院(宮城県大崎市)に入院した際の電子カルテを事務職員らに不正に閲覧され、プライバシーを侵害されたことで精神的苦痛を受けたとして、7月23日に、宮城県内に住む20代と10代の姉妹その母3人が、同病院と医療事務業務を受託していたニチイ学館(東京都千代田区)に対して、計900万円の慰謝料を求めて仙台地裁古川支部に提訴した。

看護師や医療事務スタッフら24人が不正閲覧

母娘3人の訴状によると、家庭内暴力(DV)が原因で、昨年10月下旬に父親に蹴られて左足にあざができた10代の妹が同病院を受診し、20代の姉にも虐待の疑いがあったため、診療した医師の判断で即日2人は保護入院することになった。
その後、11月上旬までの間に、病院の看護師やニチイ学館から派遣された職員ら計24人が業務上はその必要がないのに2人の電子カルテを不正に見ており、個人情報保護法に違反したと主張している。

母親が同病院に勤務、「興味本位」が理由

当時、姉妹の母親は同市内にあるニチイ学館古川支店のスタッフとして同病院に勤務していた。
休暇取得の申請の際に、「次女が階段から落ちてけがをして骨折の疑いがある。
休ませてほしい」と上司に相談したところ、上司が「何言ってんの? (あなたの家庭内の事情は)分かってんだからね、全部」と話したことで、上司が娘の入院の経緯を知っていたことを母親が不審に思ったことがきっかけで問題が発覚した。
同病院で使用されている電子カルテは患者の名前を入力すると閲覧できる仕組みで、看護師と事務スタッフらの閲覧者の多くは病院の聞き取り調査に「同僚の子が入院したので興味があった」などと説明して、興味本位で閲覧したことを認めて謝罪したが、職場の人間関係に悩んだ母親は今年2月末に退職した。
仙台市内で記者会見した代理人弁護士は「他人に知られたくない家庭事情が多数の人に不正閲覧された。 (虐待やDVなどの)被害者が保護されるべき病院でプライバシーの侵害が起きた」と話した。

病院内アンケートでは不正閲覧2割

同病院では今年7月下旬~8月下旬の間、業務委託先の社員を含む全職員にアンケートを実施。
ほぼ全員が「個人情報は適切な取り扱いが必要」という認識をもっていた一方で、約5人に1人は業務に関係のない個人情報の閲覧を行うと回答していたことが分かった。
また5~6人に1人は、他人の不正閲覧を見たり、会話を聞いたことがあったのに対して、「何もしなかった」人がその8割以上になった。
職員の実際の行動が「不正に対応しにくい職場体質がある」ことを病院では問題視し、職場風土の改善に向け、意識の追跡調査に加えて、処分基準を厳しくしたり、電子カルテへアクセスした履歴を抜き打ちでチェックして不正閲覧が無いかを調べたりすると方針だという。

公開日 :2016.03.02 更新日 :2021.10.06

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