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一度職場を離れることになった看護師の退職後のキャリアは人によってそれぞれだ。
違う病院に転職をする人もいれば、クリニックや保健所などの他に、介護施設や在宅サービスなどの介護の分野に新天地を求める人もいるだろう。
近年では慢性的な人手不足もあり、定年退職した看護師がその後に仕事を続けるケースも珍しくない。
宮崎市内でホームホスピス「かあさんの家」を運営するNPO法人ホームホスピス宮崎(宮崎市・市原美穂理事長)では、今年5月から退職後の看護師がそれまでの看護経験を生かして、一人暮らしの高齢者の自宅で看取りなどを支援する「看取り寄り添いナース」を始めている。
同法人では末期がんや認知症などで独り暮らしが困難になり介護や医療が必要になった高齢者を対象に5~6人で住める場所として、空き家を活用し、2004年に全国で初めてホームホスピス「かあさんの家」(宮崎市)を設立した。
同施設は、住み慣れた地域にある「自宅に近いもうひとつの家」として、訪問介護などの日常生活支援や24時間対応の医療や看護のケを受けながら、利用者本人や家族が希望する場所で人生の最期を迎えることができるホスピスだ。
さらに今年から退職してすでに現場を退いた60~70歳代の看護師にボランティアとして協力してもらい、地域の独り暮らしの高齢者の「自分の家で死にたい」を支えようとする取り組みを始めている。
ボランティアの看護師は、医療行為は行わないが、在宅での利用者の体調などを把握し、訪問看護師や在宅医とも連携を取っている。
また、長年の看護経験を活かして、看取りの経験のないヘルパーなどの介護職員の不安や相談にも応えているという。
同NPO法人の市原美穂理事長は、独り暮らしの高齢者の家族が遠方にいても「看取り寄り添いナース」の存在があることで家族にも安心感が生まれ、また、看護師が「生涯看護師」としてキャリアを生かせる新たな役割になると期待している。
「かあさんの家」は同市内に4カ所開設している。
また、ホームホスピス専門職の養成を行う「ホームホスピス推進研修センター」として、全国から研修生も受け入れている。
現状の介護保険制度ではホームホスピスは介護保険施設としては適用されず、一定の施設基準や国からの補助などはない。
それでも、地域に密着して高齢者の最期に携わることで、独り暮らしの高齢者でも安心して生きていける環境を作っていく意義は大きいのではないだろうか。
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