医師の指示によって患者の血液などの検体、脳など患者の身体の検査を行う医療技術職、臨床検査技師。健康診断や聴力検査、腹部エコーなど様々な検査に関わる職業であり、働く現場は多岐にわたります。今回はそんな臨床検査技師の給料を徹底解説。世代別、男女別、就業先別、役職別の年収の違いはもちろん、年収をアップさせる方法も合わせてご紹介します。
臨床検査技師の平均給料
厚生労働省のデータ※1によると、臨床検査技師の平均年収は約493万円。平均月収は約33万円で、平均賞与は約100万円です。このデータから、臨床検査技師の平均年収は、日本人の平均年収、約436万円※2より高い水準にあることが分かります。しかし、データはあくまでも平均値であり、就業環境や学歴、経験年数などによって差があることは留意しておきましょう。
(※1出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」)
(※2出典:国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」)
臨床検査技師の年収は大卒と専門学校卒で変わる?
就業施設による差はあるものの、一般的には、専門学校卒に比べて大卒の方が高年収な傾向にあります。規模の大きい病院では、募集要件が大卒以上に限定されることもあるので、事前によく確認しておきましょう。
【世代・男女別】臨床検査技師の年収
世代別 |
平均年収/全体 |
平均年収/男性 |
平均年収/女性 |
全世代平均 |
約493万円 |
約544万円 |
約472万円 |
20~24歳 |
約324万円 |
約325万円 |
約323万円 |
25~29歳 |
約392万円 |
約384万円 |
約394万円 |
30~34歳 |
約440万円 |
約491万円 |
約416万円 |
35~39歳 |
約481万円 |
約501万円 |
約473万円 |
40~44歳 |
約508万円 |
約571万円 |
約487万円 |
45~49歳 |
約576万円 |
約627万円 |
約554万円 |
50~54歳 |
約569万円 |
約656万円 |
約535万円 |
55~59歳 |
約672万円 |
約788万円 |
約616万円 |
60~64歳 |
約543万円 |
約572万円 |
約521万円 |
65~69歳 |
約341万円 |
約316万円 |
約385万円 |
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」)
全世代平均で見ると、大学病院や国立病院など、1000人以上の施設規模の平均年収がもっとも高いことが分かります。採用時点では大きな差はないものの、40代以降、特に年収の差は顕著に。施設規模によって昇給ペースに差があるほか、役職手当の差も影響していると考えられるでしょう。
病院勤務の年収
経験年数が上がるほど年収もアップする傾向にあります。特に、役職に就いた際に大幅な昇給が発生するのが病院勤務の特徴と言えるでしょう。
病院の種類によっても給料は異なり、一般的に公立・国立病院より民間病院の方が高年収です。また、超音波検査(エコー)を実施している病院では、他よりも年収が高いことが多いようです。賞与に関しては、病院によって大幅な差があるため、事前に業績や過去実績を確認しておきましょう。
クリニック勤務の年収
夜勤がほぼないクリニックでは、基本給が高めに設定されていることが多いようです。病院と同様に、超音波検査(エコー)を行っているクリニックでは、その分、給料が高くなる傾向にあります。安定した働き方はできるものの、賞与が少なく、昇給の幅も小さいのが特徴といえるでしょう。
検査センター勤務の年収
検体検査・病理検査がメインで超音波検査(エコー)がなく、業務の幅が狭い検査センターは、経験年数やスキルアップによる年収の上がり幅が少ないのが特徴です。専門学校卒の人の割合が多いため、全体的な年収は低い傾向にあるものの、夜勤の機会が比較的多く、手当てによる年収アップが見込めるでしょう。
【就業先別】臨床検査技師の年収
年代 |
施設規模 |
10~99人 |
100~999人 |
1,000人以上 |
全世代平均 | 約495万円 | 約468万円 | 約520万円 |
20~24歳 | 約370万円 | 約327万円 | 約311万円 |
25~29歳 | 約421万円 | 約364万円 | 約404万円 |
30~34歳 | 約450万円 | 約403万円 | 約468万円 |
35~39歳 | 約472万円 | 約450万円 | 約509万円 |
40~44歳 | 約469万円 | 約466万円 | 約586万円 |
45~49歳 | 約591万円 | 約510万円 | 約696万円 |
50~54歳 | 約551万円 | 約544万円 | 約621万円 |
55~59歳 | 約706万円 | 約623万円 | 約716万円 |
60~64歳 | 約595万円 | 約492万円 | 約652万円 |
65~69歳 | 約400万円 | 約371万円 | 約286万円 |
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」)
全世代平均で見ると、大学病院や国立病院など、1000人以上の施設規模の平均年収がもっとも高いことが分かります。採用時点では大きな差はないものの、40代以降、特に年収の差は顕著に。施設規模によって昇給ペースに差があるほか、役職手当の差も影響していると考えられるでしょう。
病院勤務の年収
経験年数が上がるほど年収もアップする傾向にあります。特に、役職に就いた際に大幅な昇給が発生するのが病院勤務の特徴と言えるでしょう。
病院の種類によっても給料は異なり、一般的に公立・国立病院より民間病院の方が高年収です。また、超音波検査(エコー)を実施している病院では、他よりも年収が高いことが多いようです。賞与に関しては、病院によって大幅な差があるため、事前に業績や過去実績を確認しておきましょう。
クリニック勤務の年収
夜勤がほぼないクリニックでは、基本給が高めに設定されていることが多いようです。病院と同様に、超音波検査(エコー)を行っているクリニックでは、その分、給料が高くなる傾向にあります。安定した働き方はできるものの、賞与が少なく、昇給の幅も小さいのが特徴といえるでしょう。
検査センター勤務の年収
検体検査・病理検査がメインで超音波検査(エコー)がなく、業務の幅が狭い検査センターは、経験年数やスキルアップによる年収の上がり幅が少ないのが特徴です。専門学校卒の人の割合が多いため、全体的な年収は低い傾向にあるものの、夜勤の機会が比較的多く、手当てによる年収アップが見込めるでしょう。
他の医療専門職と比べて年収は多い?
年代 | 臨床検査技師 | 看護師 | 診療放射線技師 | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士 |
全世代平均 | 約493万円 | 約492万円 | 約549万円 | 約419万円 |
20~24歳 | 約324万円 | 約390万円 | 約363万円 | 約331万円 |
25~29歳 | 約392万円 | 約452万円 | 約426万円 | 約379万円 |
30~34歳 | 約440万円 | 約468万円 | 約464万円 | 約410万円 |
35~39歳 | 約481万円 | 約481万円 | 約558万円 | 約454万円 |
40~44歳 | 約508万円 | 約504万円 | 約584万円 | 約486万円 |
45~49歳 | 約576万円 | 約534万円 | 約647万円 | 約513万円 |
50~54歳 | 約569万円 | 約552万円 | 約684万円 | 約574万円 |
55~59歳 | 約672万円 | 約563万円 | 約718万円 | 約566万円 |
60~64歳 | 約543万円 | 約484万円 | 約542万円 | 約446万円 |
65~69歳 | 約341万円 | 約418万円 | 約475万円 | 約407万円 |
(出典:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」)
20代のうちは看護師や診療放射線技能師の方が平均年収は高い傾向があります。しかし、30代ごろから看護師との差はなくなっていき、結果的に前世代平均ではほとんど同じ額に。理学療法士などと比べても年収は高く、他の医療専門職と比較して特別給料が安いわけではありません。臨床検査技師は医療専門職の中では比較的、昇給率が高い職業と言えるでしょう。
臨床検査技師の年収をアップさせる方法4選
年収を大幅にアップさせたい場合は、経験年数を重ねるだけではなく、対応できる業務の幅を増やしたり資格を取得したりと、努力が必要です。ここでは、年収をアップするための具体的な方法をご紹介します。
資格を取得する
年収アップに繋がる主な資格 | 概要 |
超音波検査士 | 超音波検査(エコー)に必要な知識や技能を認定するための資格。超音波検査における高い技術を持っているという証明になる。 |
細胞検査士 | がんの発見にも役立つ細胞診を行うための資格。受験には臨床検査技師の資格を持っていることに加え、養成所での所定課程の履修もしくは1年以上の実務経験が必要です。 |
一級臨床検査士 | 検査室内の指導的立場として適当であることを認定するための資格。臨床検査技師として5年以上かつ二級臨床検査士として3年以上の実務経験を持つ臨床検査技師のみ受験できる。 |
緊急臨床検査士 | 救急医療の現場において、迅速かつ正確な検査を行えることを証明するための資格。さまざまな検査に関する幅広い知識が求められる。 |
認定輸血検査技師 | 病気や治療に必要とされる輸血を、安全かつ効率的に行えることを証明する資格。患者に対して本当に輸血が必要かの検査も行う。 |
高度な専門性および知識・経験を持つことの証明になる認定資格を取得すると、資格手当による年収アップにつながります。ただ資格を取るのではなく、職務内容に沿った資格・職場で生かせる資格をとることがポイントです。
管理職に就く
「技師長」や「室長」を目指すことで、役職手当による年収アップを狙うことができます。
管理職への登用は、一般的に40〜50代からが多いと言われていますが、スキルや就業先の規模によっては30代でから管理職を任されることも。若手の頃からしっかりと経験と実績を積んでおくことが大切でしょう。
規模の大きい病院や医療系企業に転職する
基本的に、1000人以上の規模の施設の方が高年収の傾向があります。今の職場が比較的、小規模な職場ならば、条件に合った職場を狙って転職するのもおすすめ。大学病院、国立病院のような大きい病院は基本給が高く福利厚生も手厚いことが多いようです。管理職のポストも多いので、昇進昇給を目指しやすいでしょう。
臨床検査技師の資格を生かせる別の職業に転職する
年収アップに繋がる主な職業 | 概要 |
アプリケーションスペシャリスト(ASP) | 医療メーカーに勤務し、超音波検査診断機器や検体検査機器などの医療機器の説明や、展示ブースでのプレゼンテーションを行う。 |
治験コーディネーター(CRC) | 勤務先は、医療機関やSMO(治験施設支援機関)。医薬品や医療機器の治験がスムーズに行われるよう被験者のサポートや進行管理を行う。 |
臨床開発モニター(CRA) | 製薬会社やCRO(開発業務受託機関)での勤務。治験を行う医療機関を調査し、適切に実施されているかモニタリングする。 |
資格を生かして、医療メーカーや製薬会社などの一般企業に転職する場合、基本的に臨床検査技師として働くよりも高い給料が見込めるでしょう。特に、「アプリケーションスペシャリスト」や「臨床開発モニター」は給料が高い傾向にあります。ただし、その分、業務内容もハードになるので注意しておきましょう。専門知識と経験を持つ貴重なポジションとしての業務になる分、選考のハードルが高いことも特徴です。
臨床検査技師は安定した年収が魅力の専門職!
臨床検査技師の給料について、スキルアップや転職などによる年収アップ方法と合わせて解説してきました。比較的、昇給のペースが早く、安定した収入が見込める臨床検査技師。病院の規模や資格の有無によっても給料は変化するので、自分に合った方法で年収アップを目指しましょう。
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