医療現場で欠かせない存在として活躍している「臨床検査技師」。そんな臨床検査技師の仕事内容や役割、やりがいなどを知りたいと思っている方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、臨床検査技師の仕事内容ややりがい、年収などをわかりやすく解説します。
臨床検査技師とは|どんな仕事をしている?
臨床検査技師とは、医師の指示のもと、患者さんの体の状態が正常か異常かを知るために、さまざまな検査を行う医療技術職のことです。具体的には、患者さんの尿や血液の分析や、心電図や呼吸機能などの身体の検査を行い、患者さんの病気の予防や早期発見などに貢献します。チーム医療が発展しつつある現代の医療現場において、臨床検査技師の活躍の場はどんどん広がっています。
臨床検査技師として働くためには
臨床検査技師として働くためには、毎年2月に行われる国家試験に合格しなければなりません。国家試験は、文部科学省が指定した大学や3年生の短期大学、専門学校、養成所で必要な養成課程を修了し、卒業することで受験資格が与えられます。また、臨床検査技師になるための学校以外にも、獣医学または薬学系学部で臨床検査技師に必要な科目を履修して、卒業した場合などでも受験資格を得られます。
臨床検査技師国家試験の合格率は約8割と、国家試験の中では難易度は低い方ですが、指定の学校に通って勉強しなければならないため、簡単に資格が取れるわけではありません。
臨床検査技師の仕事内容
臨床検査技師の仕事内容は、大きく分けて「検体検査」と「生体検査(生理学的検査)」の2つです。ここでは、2つの仕事内容について具体例を挙げながら詳しく解説していきます。
検体検査
検体検査とは、「患者さんから採取した血液や尿などを使って行う検査」のことです。検査をするために必要な、患者さんの「血液や髄液、尿、組織、細胞」などを「検体」と呼び、これらの検体の成分を分析し、患者さんの身体に異常がないかを調べます。検体検査では、具体的には下記のような業務を行います。
【具体的な業務例】
・血液検査(貧血や白血病などの検査)
・生化学検査(肝機能や腎機能を調べる検査)
・一般検査(尿検査や糞便などの検査)
・細菌検査(感染の原因となっている細菌を調べる検査)
・病理検査(がん細胞の有無や種類を調べる検査)
生体検査(生理学的検査)
生体検査(生理学的検査)とは、「患者さんの身体に直接触れ、医療機器を使って行う検査」のことです。患者さんと向き合って検査を行うため、患者さんの目線に合わせて検査を行う必要があります。生体検査(生理学的検査)では、具体的に以下のような業務を行います。
【具体的な業務例】
・心電図(脈の乱れや胸の痛み、動悸などを調べる検査)
・超音波検査(超音波を使って、お腹の消化器系や心臓や血管などの状態を調べる検査)
・脳波検査(脳からの電気信号を記録する検査)
・肺機能検査(肺の機能や気道を調べる検査)
・聴力検査(「聞こえ」の程度を調べる検査)
臨床検査技師が活躍している職場
臨床検査技師は、病院やクリニックだけではなく、研究所や医療機器メーカーなど、さまざまな場所で活躍しています。
・病院やクリニック
・健診(検診)センター
・保健所
・大学の研究室
・臨床検査センター
・医療機器メーカー
・臨床研究コーディネーター(CRC)
上記のように、臨床検査技師はさまざまな場所で活躍していますが、その中でも病院やクリニック、健診(検診)センターで働く人が多い傾向にあります。これらの職場では、患者さんと接する機会や他の医療従事者と関わる機会が多いため、専門知識や技術だけでなく、高いコミュニケーション能力が求められます。
また、臨床検査技師の資格とは別に公務員試験にも合格すれば、保健所や国立・公立病院で働くことも可能です。保健所の場合は、一般的な病院での業務内容とは少し異なり、食品営業施設の許認可や食中毒発生時の検査などを行います。
さらに、臨床研究コーディネーター(CRC)として、治験に関わる業務をするという選択肢もあります。この場合は、臨床研究や新薬の治験における、被験者との同意確認や試験データの記録などの業務を担当します。
臨床検査技師のやりがい・魅力
医療現場に欠かせない臨床検査技師ですが、実際に働くうえではどんなやりがいや魅力があるのでしょうか?ここでは、代表的な3つのやりがい・魅力を紹介します。
男女問わず長く安定して働ける環境
臨床検査技師は、国家資格かつ需要も安定していることから、長く働きやすい職業と言えます。また、高齢化や予防医学への意識の高まりから、臨床検査技師の活躍の場はどんどん拡大しているため、転職先も豊富です。結婚や出産、親の介護などで一時的に働けなくなったとしても、比較的スムーズに転職・復職ができるでしょう。
医療への貢献度が高い
臨床検査技師が分析した検査データは、医師や看護師などを通し、病気の発見や治療に役立ちます。そのため、臨床検査技師はさまざまな検査や研究を通して、患者さんの健康を守ることができる職業と言えるでしょう。
また、近年では「病気になったら治療する」だけでなく、「病気を予防する」「早期発見をする」という予防医学への意識が高まってきました。そのため、病気の早期発見に役立つ健康診断や人間ドッグなど、幅広い業務に携わり活躍できます。今後は、さらなる予防医学や健康志向への関心の高まりに伴って、臨床検査技師の需要も増えていくでしょう。
専門性を高め続けることができる
臨床検査技師は、国家資格を取得後も、さらに認定試験を受けてスキルアップを目指せる職業です。たとえば、超音波検査士や細胞検査士、緊急臨床検査士などの認定資格を取得し専門性を深めれば、キャリアアップに繋がります。
資格以外にも、学会に参加して最新の医学情報を得たり、他の臨床検査技師の研究発表を聴いたりすることで、知識やモチベーションのアップに繋がるでしょう。このように、臨床検査技師は現場で仕事をこなすだけでなく、生涯を通じて専門性を高め続けられる職業なのです。
臨床検査技師の年収
以下は、臨床検査技師の平均月収と平均年収を表にまとめたものです。
平均年齢 |
勤続年数 |
平均月収 |
平均年収 |
39.7歳 |
11.3年 |
31万9900円 |
約474万円 |
※厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」より
※企業規模計10人以上で働く臨床検査技師の男女計
厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、男女合わせての臨床検査技師の平均年収は、約474万円となっています。基本給に加えて、時間外残業手当や各種手当が付くのが臨床検査技師の一般的な給与形態です。
年収は役職や継続年数によっても変わり、20代のうちは年収300万円台になることも少なくありません。その一方で、技師長や臨床検査部長などの役職が付くと、年収が600万円を超えることもあります。臨床検査技師として高収入を狙うならば、経験を積んでキャリアップしていく必要があると言えるでしょう。
臨床検査技師は医療の幅広い分野で活躍できる仕事!
臨床検査技師は、医師の指示のもと、検体検査や生体検査(生理学的検査)を行い患者さんの体の状態を調べる職業です。血液検査や細菌検査、心電図検査などを行うことにより、病気の治療だけでなく、早期発見や予防にも貢献できます。
臨床検査技師になるためには、指定の学校で必要な養成課程を修了したうえで、国家試験に合格しなければなりません。それだけ高度な知識や技術が求められますが、医療に関する幅広い業務に携わり活躍できる仕事です。高齢化や予防医学・健康志向の意識の高まり、チーム医療の発展により、今後はさらに需要が高まっていくでしょう。
また、臨床検査技師は病院やクリニックだけでなく、検査センターや医療機器メーカーなどさまざまな活躍の場があります。メドフィットでは、医療分野に特化したキャリア相談やスキルアップ支援を通して、臨床検査技師がより活躍できる社会の実現に向けてサポートしています。