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思春期につきものの「ニキビ(尋常性ざ瘡)」。ニキビの有病者数は世界で6億5000万人に上り、世界で8番目に多い疾患とされている。
ニキビの原因には、プロピオニバクテリウム・アクネス(アクネ菌、皮膚の常在菌の一つ)が知られており、アクネ菌が産生する毒素が炎症を引き起こすとされている。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループは、ニキビの発生に関与する皮膚の常在菌が放出する毒素「CAMP(Christie-Atkinson-Munch-Peterson)因子」を標的としたワクチンを開発しており、このワクチンでマウスやヒトのニキビ病変の組織で炎症を抑制したことを確認したと発表した。
同研究成果は、8月29日付けの「Journal of Investigative Dermatology」(電子版)に発表した。
今回同研究グループが報告したニキビワクチンは、「CAMP因子」を標的とした抗体を用いている。
同研究グループは、これまでに、マウス実験によって、このニキビワクチンがアクネ菌の増殖と炎症性サイトカインの産生を抑制することを確認していた。
今回は、ヒトのニキビ病変組織を用いた実験によって、ニキビワクチンによって、「2種類の炎症性サイトカイン」の産生量が大幅に減少することが判明したという。
ヒトに直接ワクチンを接種した場合に同効果があるかどうかは不明だが、同ワクチンが特定の菌を標的としていることで、副作用は最小限に抑えられると推測している。
また、今後は、ニキビワクチンの臨床試験を企業と共同実施することで、臨床試験でのワクチンの効果を確認して、3~5年以内での実用化を視野に入れている。
現行のニキビ治療法では、スキンクリームや抗菌薬、レチノイドの全身投与などが使用されるが、しばしば過度な乾燥や刺激などの副作用を伴う。
また、ニキビによるストレスや羞恥心が原因で、ひどい場合はうつ病や自殺、自殺念慮などのリスクが高まるとされる。
同研究グループでは、今回のワクチンが実用化されれば、ニキビに悩む多く人々がストレスから解放されると期待を寄せる。
また、抗菌薬やレチノイドなどによる現行治療では副作用を伴いやすい。
アクネ菌から産生される毒素を標的とした今回のワクチンを接種した場合は、特異的で毒性は低い可能性はあるが、善玉のアクネ菌は保たれるという点も重要になってくる。
ニキビ治療においてワクチンは極めて有望なアプローチと考えられる一方で、臨床試験を実施する前に、さらなる検討も必要となってくる。

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