コグニティブ・コンピューティングで「がん遺伝子パネル検査」
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コンピュータが自ら物事を経験して認知し（コグニティブ）、膨大なデータから情報を統合・分析する「コグニティブ・コンピューティング」。ITの新世代の中心になるとも言われるプログラミングだ。
また、このような近年のITの進化は医療にも積極的に取り入れられている。
SBI生命保険株式会社（本社：東京都港区、飯沼邦彦社長）と近畿大学は3月26日、コグニティブ・コンピューティング・システムを活用した「がん遺伝子パネル検査」に基づく、患者への最適な抗がん剤治療法の提示体制を構築したと発表した。
保険診療ではなく、高額な「遺伝子パネル検査」
患者の「微小ながん組織（血液）」から遺伝子情報を解析することで、患者一人ひとりに最適な治療法を診断することができる「プレシジョン・メディシン」（高精度医療）の研究における遺伝子検査技術である「がん遺伝子パネル検査」。
この「がん遺伝子パネル検査」は、今回抗がん剤治療法の提示体制を構築した近畿大学医学部附属病院だけでなく、国内の一部医療機関でもすでに提供されている検査法である。
しかし、現在は保険診療ではないため、その検査費用や検査後に薬物治療を受ける場合の費用は高額である。多くのがん患者が同検査を利用するには十分な社会環境が整っていないという課題を抱えていた。
2000万以上の論文情報などを活用した遺伝子解析
これまで近畿大学医学部ゲノム生物学教室では、「近大クリニカルシークエンス」プロジェクトとして、全国に先駆けてクリニカルシーケンサー（次世代シーケンサー）を使った「がん遺伝子パネル検査」に取り組んできた。
同プロジェクトでは、1,000件以上のがん組織サンプルの遺伝子解析を実施したが、さらに今回、同プロジェクトではコグニティブ・コンピューティング・システム技術を活用。2000万を超える電子化された論文情報をはじめ、がん腫瘍部分の遺伝子変異や生命のメカニズムに関する膨大な知識情報から、患者一人ひとりに適した「抗がん剤とその標的となる遺伝子」を解析する。
最適な「抗がん剤治療法」を提示
今回の抗がん剤治療法の提示体制の構築は、豊富な遺伝子解析経験を持っている現場の医師と、情報処理能力や作業時間の効率化というメリットを有するAIの連携によって、より最適ながんゲノム医療の提供体制を構築するもの。
近畿大学医学部附属病院では、2018年夏より、治療中のがん患者を対象にAIを活用したがん遺伝子パネル検査の実施可能性を問う研究を先行実施する予定。
また、SBI生命では同研究にかかる費用を支援し、保険商品の新開発に向けた研究も開始する。
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