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製薬企業の新薬開発における課題となっているのは、開発コストの高騰だ。
近年では、一つの新薬を開発するのに、2000億円規模の研究開発費を要するとも言われる。一方で、人工知能(AI)を駆使した『AI創薬』によって、この莫大に掛かる開発費の課題を解決しようという研究が国内外で活発になっている。
大手ITの株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA、本社:東京都渋谷区、守安功社長)とそのヘルスケア子会社である株式会社DeNAライフサイエンス(DLS、本社:東京都渋谷区、大井潤社長)は1月10日、製薬企業大手の旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、柴田豊社長)および塩野義製薬株式会社(本社:大阪府大阪市、手代木功社長)と、両社が所有する化合物情報(構造式および特性情報)を活用して、『AI創薬』の実現可能性を技術的に検証する共同研究を2018年1月から開始すると発表した。
現在、「低分子化合物」の創薬プロセスにおける初期段階では、IT技術を活用し、さらに研究開発者の経験・勘に頼りながら、医薬品候補となる化合物を設計・合成しており、効果・安全性などを測定した上で、『バランスの良い化合物』を選択している。
このような創薬プロセスを通過するための化合物は、1プロジェクト当たり平均4,263個にもなり、これらをひとつずつ検証していくために、3年以上の歳月と10億円単位という莫大な研究開発費がかかっている。
今回開始される共同研究は、DeNAおよびDLSの有するAI技術と製薬企業の保有する化合物データを活用することで、創薬プロセス初期の『化合物最適化段階』における大幅なコスト・時間低減に繋がる技術を開発し、検証することを目的としたもの。
また、科学技術顧問として、IT/AI創薬の専門家である石田貴士氏(東京工業大学情報理工学院准教授)が就任する。製薬企業では、創薬プロセスの生産性向上が強く望まれており、AI技術に大きな期待が寄せられる。
DeNAおよびDLSでは、AI技術を用いた創薬の実現を通じて、「健康長寿社会の実現」を目指したいとしている。また、DLSは、住商ファーマインターナショナル株式会社(本社:東京都千代田区、中村健一社長)と、「AI創薬事業のグローバル展開」についても検討開始するとしている。
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