「ブタプラセンタ」の成分から活性メカニズム解明へ
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哺乳類の胎盤から抽出した有効成分である「プラセンタ（胎盤エキス）」。
胎盤には、アミノ酸・タンパク質・脂質・糖質などの様々な栄養素に加え、身体の働きを活発にする生理活性成分（ビタミン・ミネラル・核酸・酵素など）、細胞の新陳代謝を促す成長因子などが含まれており、その有効性が注目される一方で、その活性発揮のメカニズムについては不明な点も多く残されていた。
東京工科大学は10月24日、今村亨氏（同大応用生物学部教授））、伊藤航平氏（修士課程学生）、山田竜二氏（修士課程学生）、松本展希氏（学部生）らの研究グループが、化粧品原料などに使われる「ブタプラセンタエキス（PPE）」の活性についてのメカニズム解明につながる成分の存在を発見したと発表した。
同研究成果は、「Journal of Cosmetic Dermatology」に掲載されている。
美容・健康商品に使用される胎盤エキス「プラセンタ」
胎盤は、母体と胎児を結び、胎児の成長に欠かせないあらゆる栄養素を持つことによって、受精卵から赤ちゃんに育て上げる臓器。
ブタやウマの胎盤から抽出し、化粧品やサプリメント、医薬品などに広く使われている「プラセンタ」だが、化粧品原料では、主にブタから調製したPPEが使われており、製造工程ではタンパク質の酵素分解・加熱の処理を施されている。
一方で、これまでPPEに細胞の増殖分化・機能を制御する活性をもったシグナル分子が含まれることを示した例はなかった。
5種類の「FGF受容体」で活性化、「グリコサミノグリカン」も活性化を保護
今回の研究では、シグナル分子群である「FGFファミリー」に対する主要な受容体の活性化を解析できる細胞を複数種類作成した。FGF（線維芽細胞増殖因子）は、コラーゲンを産生する細胞で肌のハリや弾力に重要な細胞。
これらに対しPPEを加えると、増殖反応を通じて5種類のFGF受容体（FGFR1c、FGFR2c、FGFR2b、FGFR3c、FGFR4）について、活性化を示すことを発見。
これらのFGF受容体の特異的な活性化は、プラセンタエキスの活性が阻害物質によって阻害されたことで確認されたものとしている。また、PPEには「グリコサミノグリカン」という糖鎖が含まれており、化粧品原料の製造工程でこの「グリコサミノグリカン」がFGF活性を保護することも示唆されたとしている。
機能性化粧品の新開発などに期待
今回の研究によって、「プラセンタエキス」にFGF活性を発揮する物質が含まれており、さらにこの活性物質は、高分子量・低分子量のいずれの分子量範囲にも含まることが明らかになった。
組換えタンパク質として生産されている「天然型FGF医薬品」の有効性は、すでに皮膚潰瘍・粘膜炎の治療、再生医療・美容皮膚科などの分野で実証されている。
同研究グループは、今回の研究から、化粧品原料のプラセンタエキスの有効性も、その一部はFGF活性によるものであることが示唆されたとし、新たな機能性化粧品の創成が期待されるとしている。
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