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老人性難聴や突発性難聴、メニエール病などに代表される「難聴」について、WHO(世界保健機関)では65才以上の人口の3~4割が難聴による障害を持っていると報告している。
その多くは「内耳」に何からの問題があることが分かっており、遺伝性難聴である『Pendred症候群』においても、その詳しいメカニズムの解明が求められていた。
慶應義塾大学では1月11日、岡野栄之氏(同大医学部生理学教室教授)、小川郁氏(耳鼻咽喉科学教室教授)、松永達雄氏(NHO東京医療センター部長)らの共同研究グループが患者のiPS細胞を活用して「内耳」の細胞死が『Pendred症候群』の原因になっていることを突き止めるとともに、新しい治療法を発見したことを発表した。
同研究成果は、1月3日付けの「Cell Reports」に掲載されている。
遺伝性の疾患である『Pendred症候群』は、SLC26A4遺伝子変異による「ペンドリン(PENDRIN)タンパク異常」が原因とされる疾患で、進行性難聴や「めまい」、甲状腺腫などを引き起こす。
遺伝性難聴の中で最も多いGJB2遺伝子変異による「GJB2(コネキシン26)遺伝子変異型難聴」に次いで2番目に患者数が多い。
これまで遺伝性難聴の研究においては、患者と同様の遺伝子変異を持ったマウスを作成して観察することで進められてきた。
しかし、一部の遺伝性難聴を対象にした研究では遺伝子改変マウスが難聴を起こさないことがしばしば報告され、この『Pendred症候群』でも遺伝子改変マウスは進行性難聴を再現できず、治療法の開発が進んでいないことが課題だった。
今回同研究グループでは、ヒトiPS細胞を活用した「内耳細胞」の効率的・安定的な作成方法を開発した。また、『Pendred症候群』患者の血液を基に疾患特異的iPS細胞を作製。
この作成方法により患者と健常者のそれぞれのiPS細胞から作成した「内耳細胞」の比較検討を行った結果、患者のiPS細胞から作られた内耳細胞では、細胞内に異常なペンドリンが蓄積されて凝集(ぎょうしゅう)体が作られる「変性」が起きることが分かったという。
さらに、この「内耳変性」が原因で『Pendred症候群』患者の内耳細胞はストレスに非常に脆弱(ぜいじゃく)で、死にやすい状態になっていることも明らかになち、それに合わせて同研究グループでは、難聴の進行を抑制するための(細胞ストレスに対する)細胞脆弱性の改善を見込める薬剤として、「シロリムス(免疫抑制剤)」に効果があることも発見したという。
今回の研究成果によって、『Pendred症候群』における進行性難聴は、パーキンソン病やアルツハイマー病などの多くの神経変性疾患にみられるメカニズムと同様に進み、「シロリムス」がこれらの進行性難聴を抑制する可能性が示唆されている。
このような進行性難聴で「内耳」に原因のある場合では、これまではヒトの内耳細胞が採取できないことが原因でメカニズムの解明が進んでいなかった。
しかし、今回のようなiPS細胞を活用したアプローチによって、他の原因不明の進行性難聴でも「内耳変性」を起こしていないか、同研究グループでは今後徐々に研究を進めていくとしている。
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