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現在、肝硬変などの致死的な肝疾患を抱えた患者に行われる「肝臓移植」では、脳死移植のケースではドナー不足の問題、生体肝移植のケースでは健康な人体にメスを入れる倫理的な問題といったさまざまな問題がある。
また、この「肝臓移植」に代わる、細胞移植による再生医療の「肝細胞移植」でも、移植したドナー細胞の患者の肝臓への生着率が低いために、肝臓全体がドナー細胞で置換されるまでの時間がかかることが課題となっていた。
札幌医科大学は2016年12月14日に、市戸義久氏(同大医学部附属フロンティア医学研究所組織再生学部門研究員)らの研究グループが、国立がん研究センター研究所分子細胞治療学分野との共同研究によって、新しい肝臓再生のメカニズムを解明したと発表した。
同研究成果は、2016年12月7日付けの「Stem Cells」(電子版)にも掲載されている。
研究グループはこれまでに、細胞移植治療における細胞源として適した細胞の検討を行ってきた。その候補に上がっていた細胞には、増殖能の高い「肝幹・前駆細胞」と肝機能の高い「成熟肝細胞」であり、この2つの細胞を比較すると「成熟肝細胞」の方が生着率が高、「肝幹・前駆細胞」では生着した細胞が細胞老化に陥り、消失しやすいことを突き止めていた。
今回、新たに『Thy1陽性細胞』の移植では、生着率が低い一方で、患者(レシピエント)の肝臓が大きくなっていることを発見したため、そのメカニズム解明に関する研究を開始。
障害肝由来の『Thy1陽性細胞』をRet/PHモデルラットに移植した実験では、レシピエント肝臓由来の「小型肝細胞様前駆細胞(SHPCs)」の増殖が促進されたという。
同研究グループでは、肝組織から抽出したSHPCsを対象に、DNAマイクロアレイで細胞増殖因子受容体遺伝子を網羅的に解析した結果、「Interleukin 17」・「receptor b (IL17rb)」の2つの遺伝子の発現が高まっていることがわかった。
さらに「IL17rb」に結合する細胞増殖因子として知られる『Interleukin (IL)17B』と『IL25』の両サイトカインをどのような細胞が分泌しているのかをレシピエント肝臓内で解析。その結果、類洞内皮細胞(SECs)が『IL17B』、クッパー細胞(KCs)が『IL25』をそれぞれ発現していた。
これらの一連の現象を踏まえて、今回の研究結果をまとめたところ、『Thy1陽性細胞』が分泌する細胞外小胞(EVs)によって、SECsが『IL17B』、KCsが『IL25』、小型肝細胞が「IL17rb」の発現を誘導すること、また肝前駆細胞の培養では『IL17B』や『IL25』を加えるとその増殖が促進されるメカニズムが明らかになった。
同研究成果は、移植細胞がEVsを放出して間質の細胞に作用することで見られる、ターゲットに内在する肝前駆細胞の増殖促進を引き起こすサイトカイン分泌(という間接的な効果)による、新たな肝再生促進メカニズムを示している。
今回用いられた『Thy1陽性細胞』は、骨髄間葉系幹細胞(BMSCs)のマーカーとしても利用されてれる。そこで同研究グループは、今後はBMSCsでも今回と同様の再生促進作用が見られるかを検討していく予定だ。
また、同大ではMSCsを用いた脳梗塞や脊髄損傷患者に対する再生医療を進めており、今回の研究結果が肝再生医療への臨床応用を後押しするものになったと同研究グループは述べている。
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