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『腸内細菌叢(腸内フローラ)』は、寿命などの人間の健康に関わる重要な役割を持っているとされ、その研究には欧米でも巨額の予算が投じられており国家的なプロジェクトになっている。
そのため、国内でも日本人の腸内環境・腸内代謝系の発見や疾病マーカーの発見を目標とするプロジェクトが取り組まれている。
国立がん研究センターは7月7日、谷内田真一ユニット長(同センター研究所がんゲノミクス研究分野)と同センター中央病院内視鏡科、山田拓司氏(東京工業大学生命理工学院准教授)の共同研究グループが腸内細菌叢(腸内フローラ)のメタゲノム解析に重要な「糞便」の簡易な保存方法を開発したことを発表した。
この共同研究は、国立がん研究センター研究開発費「生体細菌叢のメタゲノム解析を用いた先駆的アプローチによる腫瘍発生メカニズムに関する基盤研究」の支援を受けて行われているもので、同研究成果は、国際的な消化器病関連の学術誌である「GUT」(電子版)に掲載されている。
ヒトの腸内には約3万種類・1000兆個にものぼる腸内細菌が生息しているとされる。それらの腸内細菌叢(腸内フローラ)は、肥満や糖尿病、アレルギーなどの様々な疾患と関連していることが分かっているが、発がん要因の特定やバイオマーカーの役割などがん治療・診断における応用の可能性も広がっており、腸内細菌叢のメタゲノム解析(遺伝子解析)が進められている。
今回、共同研究グループでは腸内細菌叢のメタゲノム解析に用いられるヒトの「糞便」の保存方法に着目。従来よりも簡易な糞便収集と保存を行える方法を開発した。
ヒトの糞便には高密度で細菌が存在しており、常温保存では15分以内に雑菌が繁殖するため、時間経過とともにそのメタゲノム解析が困難になってしまう。
そのため、排便直後の糞便をドライアイスや超低温冷蔵庫を用いて冷凍保存する方法を取ることでメタゲノム解析への活用を行うのが一般的であった。
今回研究グループでは次世代シーケンサーを活用した腸内細菌叢の組成解析を行っている。さらに、従来行われていた凍結保存の代わりに「グアニジン・チオシアン酸塩溶液入り採便容器」を用いた室温保存を採用した。
その結果、従来の凍結保存便と差異の少ない室温保存便の保存が可能であることが分かった。
さらに、この常温保存した糞便からの腸内細菌叢のメタゲノム解析(16SrRNA解析)も可能であったことを確かめた。
さらにこれまで腸内視鏡検査の実施による腸内細菌叢への影響が懸念されていたが、今回の研究では、大腸内視鏡検査とその前処置(腸管洗浄剤の内服)の前後で腸内細菌叢の組成に変動は見られず、影響はないことも新たに分かっている。
これらの研究成果から、今後は糞便の凍結保存・輸送が難しい地域住民のメタゲノム解析や腸内細菌叢の大規模コホート研究の実施も可能になったといえる。
また、腸内細菌叢に関する研究がグローバルで進んでいることで発がんメカニズムの解明や様々な疾患との関連がより詳しく明らかになることも期待される。
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