国内初の遺伝子検査システムを導入、順天堂医院
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近年、がん治療における抗がん剤では「分子標的薬」が主流になっている。この「分子標的薬」は、がん細胞が持つ特定の性質を分子レベルで標的にし、ピンポイントで狙うことで効率よく治療する薬だ。分子標的薬では、がん細胞だけを狙っているため副作用も比較的少なく抑えることが出来るとされ、その役割に期待が高まっている。
順天堂大学では同大学医学部附属順天堂医院(東京都文京区、天野篤院長)に、がん遺伝子情報を解析し、医師に最適な治療薬情報などを提示する遺伝子検査サービス「MSK-IMPACT」を導入したことを6月9日に発表した。「MSK-IMPACT」は、アメリカのがん専門病院「メモリアルスローンケタリングがんセンター(MSKCC)」が開発した最先端の遺伝子検査サービスで、国内では初の導入となる。同医院ではすでに患者の受け入れも開始したとしている。
国内最大級のがん遺伝子解検査サービス
がん治療においてより効果の高い抗がん剤を選択するためには、がん細胞の性質を把握するためにがん細胞の遺伝子情報を知ることが重要になってくる。
今回、同医院に導入されたがん遺伝子検査サービスの1つである「MSK-IMPACT」は、アメリカのがん専門病院である「(メモリアルスローンケタリングがんセンター(MSKCC:Memorial Sloan Kettering Cancer Center)」が開発した検査法だ。がん関連遺伝子410個と18種類の融合遺伝子の検査を行うことで、全てのがん種を対象(骨転移腫瘍・原発性骨腫瘍は除外)に網羅的な遺伝子解析を行える革新的な遺伝子検査サービスだ。これは同様の国内がん遺伝子検査サービスと比較しても、対象となる遺伝子数が約2倍になっており、国内最大級の遺伝子検査となる。
個人差のある遺伝子異常を正確に検査
遺伝子には個人差があるため、がんで異常に変異した遺伝子を正確に検出するには、一般的な遺伝子配列と比較するよりも、本人の正常遺伝子を解析・比較して抗がん剤の選定・治療方針などを検討することが望ましいという。
MSK-IMPACTでは、がんによる遺伝子異常を本人の正常細胞と比較するため、がん細胞の異常をより正確に判断できる。また、MSK-IMPACT以外では本人の正常細胞と比較して検査結果を出すがん遺伝子検査サービスは国内にはない。
MSKCCの日本国内の唯一の窓口であるテーラーメッド株式会社(東京都中央区、緒方憲太郎社長)が検査を委託し、患者のがんの検体を病院から送付した後にMSKCC専門病理チームが審査し、約1ヶ月半後には検査結果が届く仕組みだ。(2015年2月に設立された同社では、がんゲノム検査仲介を主業務とし、がん遺伝子検査の国内普及を行っている。)
がん治療の向上にも期待
同大学では、MSK-IMPACTの導入で可能になるがん遺伝子解析によって、あらゆる患者により有効な抗がん剤の選定・治療に役立てられるとしている。また、がんの解析結果の医療研究への活用によって、がん治療の向上につながると考えられる。
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