「吐いた息」でがんや糖尿病などをチェック
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飲酒検査のように呼気(吐いた息)の含有物質をチェックするだけで「肺がん」や「糖尿病」などの疾患にかかっているかどうかを調べることが出来る高精度センサーが盛んに開発されている。 これらの疾患にかかると体臭や口臭が変わるとされており、「匂い」で病気を突き止めようという発想だ。 パナソニックでは2014年に、吐く息に含まれる成分によって「肺がん」検査が行える技術を開発している。 高感度センサーを備える検査装置によって、「がん」がある場合に呼気に出てくる微量の特定成分を検出する仕組みで、同社では2020年をめどに実用化を目指している。 また、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS、茨城県つくば市)が中心となって開発を進めてきた高精度の小型センサーは「スマートフォン」などと連携させて使用することでセルフチェックなどでも呼気から「がん」を検知できるとされ、2022年にも実用化される見通しであることが報道されている。 これらの高精度(高感度)センサーで呼気のにおいを分析する方法は、痛みもなく短時間で出来るというメリットがあり、特にスマートフォンなどとの連携が可能になれば、医療機関に行かずに個人でも手軽にチェックできることになりそうだ。 また、NIMSが開発する小型センサーの製造コストは1個数百円ほどと費用も安いため量産も可能で、早期発見によって医療費抑制の効果も期待されている。
生体ガスで疾患を検知
糖尿病やがん、肝硬変、高脂血症などでは、生体ガス(息や皮膚などから出る気体)に特徴があると考えられる。
それぞれの疾患を発症した場合に、例えば糖尿病だと「アセトン」、がんだと「アセトアルデヒド」、肝硬変だと「アンモニア」、「エタンノール」が生体ガスとして検知されやすいとされる。
しかし、「一酸化炭素」が検知される疾患には慢性気管支炎やニコチン依存症など複数があり、精神的なストレスによっても「一酸化炭素」は検知されるように、異なる疾患でも生体ガスの種類や量が同じ場合がある。
そこで、これまではそれぞれの疾患に含まれているまだ分かっていない生体ガスの種類を新たに発見して、ガスの種類を増やして複数の生体ガスで判定したり、あるいは生体ガスで簡易検査として病気の疑いをチェックし、発症の可能性がある疾患については精密検査でさらに詳しく調べるような使い方が想定されていた。
また、息を吐くタイミングでも生体ガスの成分は変わるため、呼気検査の方式を統一して精度を高めることも課題だった。
「匂い」データ収集・と高精度センサーの開発を継続
このように実用化に向けては、がんの匂い物質に関する研究やデータの収集、センサーの精度を高めるための開発が不可欠で、また国による医療機器の認証なども必要となってくるため今後数年間の期間を要する。
NIMSによれば、小型センサーがさらに高精度になり、匂いに関するデータが十分に蓄積されていけば、がんの種類を見極めることも出来るようになる可能性が高いとしている。
また、小型センサーを接続したスマホやパソコンなどでグラフや数値による結果を示すような仕組みも可能だという。
がん検診の受診率アップも期待
内閣府による2014年の世論調査では、国内における「がん検診」の受診率は約4割となっている。
欧米の先進国での受診率は8割程度になることから半分程度にとどまっている状況だ。
受診しない理由は「時間がない(48%)」「費用がかかる(38.9%)」「がんと分かるのが怖い(37.7%)」、「健康で必要性を感じない(33.1%)」などが挙がっており、今後手軽な呼気診断が可能になれば受診率の向上は期待できる。
がん治療には早期発見が有効になるため、この呼気による簡易検査が普及すれば画期的ながん検査になりそうだ。
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