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国内有数の薬品メーカーである「化学及血清療法研究所(化血研)」(本社:熊本市)が20年以上にわたり血液製剤の不正製造を隠蔽していた問題で、厚生労働省は12月3日、医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づき、化血研に立ち入り検査した。
同省では同法違反で化血研に業務改善命令を出す方針を示している。
化血研の第三者委員会報告書によると、化血研では抗凝固薬(血液凝固を阻害する薬)であるヘパリンを血液製剤に添加するなど国で承認されていない製造工程に変更していた。
さらに虚偽の製造記録を作成するなどして不正製造の発覚を免れており、同委員会では「常軌を逸した隠蔽体質」と批判している。
同報告書によると不正製造の隠蔽工作は約20年前から続いており、国の査察が厳しくなることを受けて、虚偽の製造記録はゴシック体、実際の記録は明朝体で作成し、文字の書体が異なる2種類で区別したり、過去の製造記録を不正に書き換える際に職員に筆跡を似せて書かせるなどを行っていた。 さらに国の査察での門答を想定した対策まで行っていたという。
化血研では血液製剤の一つで期限切れの原材料を使用したとして2014年5月に国の調査を受けている。
それでも不正製造は続き、今年5月に再度厚労省の調査が入るまで続いた。
12月2日に厚労省で記者会見した化血研の宮本誠二理事長らは、コンプライアンス(法令順守)の意識が低い企業文化があったことに加え、血液製剤の安定供給の確保への影響を考えると是正出来なかったとしている。
1980年代に社会問題化した薬害エイズ問題では、化血研は薬害エイズ訴訟の被告企業の1つになっている。
大阪HIV訴訟原告団は1996年に和解するにあたって化血研と「安全な医薬品の提供義務があると深く自覚する」とする確認書を交わしたが、その後に血液製剤の不正製造が本格化しているため、同原告団では「(今回の発覚では)強い憤りを覚えた。裏切られた。」と批判している。
これまで化血研製の血液製剤で重篤な副作用などは確認されていないが、人の命に関わる医薬品メーカーの企業倫理が問われている。
厚生労働省では今年9月までにすでに化血研製の血液製剤12種類とワクチン10種類を含む計29種類の出荷自粛を要請しており、12月2日にあった同省の専門家委員会でも「安全面をクリアしたわけではない」としている。
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