子どもの脳腫瘍による学習障害、「ドーパミン」が影響

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国内では年間1万人に1人くらいといわれる脳腫瘍の発生率。
この脳腫瘍はがん全体で見ると5%以下と比較的まれな病気だ。
ところが、子どものがん患者だけで考えると、脳腫瘍は白血病の次に多く、5人に1人にまで上っている。
子どもの脳腫瘍は決して珍しい病気とは言えないようだ。
子どもの脳腫瘍は、重篤化すると学習障害を引き起こし、記憶力や注意力などにも影響を及ぼす
一方で、脳内麻薬とも言われる「ドーパミン」が不足する事によっても、統合失調症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの精神疾患を招くことが分かっている。
アメリカ・ワシントン大学セントルイス校のデビッド・H・グートマン氏らの研究グループは今年7月、「子どもの脳腫瘍による学習障害とドーパミンの影響」に関する研究論文を遺伝分野の国際科学誌「 Human Molecular Genetics(ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス)」に掲載している。

神経繊維腫症1型における脳腫瘍

同研究グループによる検証では、遺伝性の難病である神経線維腫症1型(別名:レックリングハウゼン病)におけるいくつかの突然変異において、脳内のドーパミンが劇的に減少していることを発見したという。
また、この症状を持つ患者全体でのドーパミンのレベルは「正常値」であるか、もしくは「75%以上少ない」かの二極化していた。
神経線維腫症1型は、皮膚にカフェ・オ・レ斑(cafe au-lait spot)と呼ばれる色素斑(母斑、シミ)や神経線維腫という腫瘍を生じる常染色体優性の遺伝性疾患で、脳腫瘍などの神経系病変を生じることもある。
約半数は親から遺伝しており、残りは突然変異により発症する。
同研究グループの過去の研究よると、神経線維腫症1型にかかった子ども患者のうち60~80%は、中枢神経の機能不全と考えられる注意欠陥が見られたという。
17番染色体の上に存在する「ニューロフィブロミン」と呼ばれるタンパク質をつくる遺伝子「NF1」が原因になることが分かっているが、個々の患者に神経線維腫症1型と合併した様々な症候が見られており、症候によって出現する時期は異なり、それらのメカニズムは解明されていない。

「ニューロフィブロミン」不足で「ドーパミン」が大きく低下

今回、同研究グループでは、この神経線維腫症1型の原因遺伝子「NF1」から作られたタンパク質「ニューロフィブロミン」が「最も低いレベル」にあるマウスと「少し減少したレベル」にあるマウスの様子を比較する実験を行った。
その結果、「ニューロフィブロミン」が最も低いレベルにあるマウスには記憶障害が見られた
また、「ニューロフィブロミン」が減少している時には「ドーパミン」が大きく減る変化が見られた

ドーパミンレベルを高めて学習障害を改善

今回の結果から研究グループでは、薬物治療で脳内のドーパミンレベルを高めることで、記憶障害を改善出来るとも推測しており、ドーパミンの数値を高める治療薬を脳腫瘍のある子ども患者の学習障害の治療につなげたいとしている。
また、今後は、ドーパミンレベルから学習障害を予測する血液検査の開発を目指したいともしている。

公開日 :2015.12.18 更新日 :2021.10.06

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