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がん細胞への攻撃に疲弊した免疫細胞を体外に取り出して、増殖や活性化などにより免疫細胞の本来の能力を取り戻させることで、がんを治療する「免疫細胞療法」。
がん治療において近年注目されている取り組みだ。
東京大医科学研究所などは、ヒトのiPS細胞から作製した免疫細胞をマウスに移植して、マウスのがんを小さくすることに成功したという。
8月28日付けの米科学誌ステム・セル・リポーツ(電子版)に発表した。
今回の実験では、がん化したヒトの細胞をマウスの体内に移植。
ヒトのiPS細胞から作製した免疫細胞を同じマウスに注射した。
そうしたところ、免疫細胞がマウスの体内で盛んに働き、がんの大きさは平均で0.06倍にまで縮小した。
免疫細胞を入れなかった別のマウスでは、がんは逆に10倍の大きさになった。
本来、体内ではがん細胞に対して免疫細胞が攻撃するが、免疫細胞が疲弊し、がん細胞を攻撃する免疫細胞が減少すると、がん細胞が増殖してしまう。
研究チームでは、疲弊して機能しなくなった免疫細胞を取り出してiPS細胞に変えて増殖することで、増殖後の免疫細胞が再び機能することを実証した。
また、研究チームではマウスの体内に移植した免疫細胞自体が「がん化」や副作用を起こしてしまう場合も想定して、iPS細胞に変えた段階で、特定の薬を作用させると細胞自体が自殺する機能を組み込んだ。
実験では別のマウスにこの免疫細胞を移植した後、免役細胞の自殺を促す薬を注射したところ、体内に移植した免疫細胞はほぼ見られなくなったという。
これによって、移植した免疫細胞が問題を起こしても、薬でおさえられることを確認した。
今回、安全面の確保についても現実的な手法も開発できたことで臨床応用に向けてかなりの前進となり、研究グループでは数年以内に患者で検証したいとしている。
免疫細胞についてこんな研究報告もある。
2型糖尿病患者に処方されている治療薬「メトホルミン」によって、免疫細胞数の増加とがんを攻撃する機能の回復が著しくなることが岡山大学大学院の研究グループによって分かった。
米科学アカデミー紀要(電子版)に今年1月26日付けで発表された。
欧米では2型糖尿病の第1選択薬であるメトホルミン。
一般的な免疫治療薬や抗がん剤などに比べて低価格であることから、研究グループでは、メトホルミンを従来のがん治療法と合わせて用いることで、コストの低下も含めて治療効果がさらに改善するとみている。
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