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従来のがん領域では、生検(biopsy)で内視鏡・針を使用した腫瘍組織の採取が行われていたが、近年では、「リキッドバイオプシー(liquid biopsy)」が注目されている。
これは、血液などの体液サンプルを使用することで診断・治療効果予測を効果的に行う技術のことだ。患者の負担を軽減するとともに、腫瘍の遺伝子(ゲノム)情報を踏まえて適切な治療を行える手法として、世界中で研究開発が進んでいる。
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(本社:東京都港区、小笠原信社長)は5月15日、シークエンシングソリューションの新ブランド「AVENIO」の展開に向けて同社プレスリリースで発表した。
その新ブランドの第一弾では、リキッドバイオプシーによるがん遺伝子解析システム「AVENIO ctDNA Analysis システム」(研究用)を発売している。
リキッドバイオプシー手法では、採血のみ(血漿検体)という低侵襲な方法でがん診断が可能になる。
また、腫瘍の遺伝子変異を標的にした薬(分子標的薬)による治療において、次第にその効果がなくなるケースでは、腫瘍が新たな遺伝子変異を起こすために薬への耐性を得ていることも少なくない。しかし、遺伝子変異を調べるために腫瘍組織を再度採取する再生検(Re-biopsy)では、患者の病態や体力低下などで困難になることもある。
そこで血液による遺伝子変異の検査が可能になれば、治療の各プロセスでの新たな遺伝子変異に応じて治療薬の適切な選択が行えるようになる。
今回、同社が発売したのはシークエンサー用のがん遺伝子検出用キットと、データ解析用サーバーで構成されるシステムの「AVENIO ctDNA Analysis システム」。後期の固形腫瘍(肺がん、大腸がんなど)を有する患者をターゲットとして、リキッドバイオプシーによる解析を行える。
解析可能な遺伝子変異は、SNV(一塩基多型)、indel(挿入欠失)、CNV(コピー数多型)、Fusion(融合領域)の4種類で、分子レベルでの検出エラー防止策で血漿中のごくわずかに存在する腫瘍由来のctDNA (血中を循環する腫瘍DNA、circulating tumor DNA)から遺伝子変異を高効率に検出・解析できるという。
がん遺伝子検出用キットは、『Targeted(がんの治療時に選択)』、『Surveillance(薬剤投与後の再発モニタリング時に選択)』、『Expanded(再発後の治療時に選択)』の 3種類を用意して、目的の病態に合ったキットの選択が可能になっている。
また、データ解析用のソフトウエアがサーバーにインストールされていることで、大量のシークエンシングデータから「遺伝子変異の数・頻度」、「品質情報」などのレポートの取得が可能で、煩雑な作業は不要だという。
同シリーズでは、これまでに同社が保有していた技術をまとめることで、ctDNA抽出から解析サポートまでの一連の「リキッドバイオプシー特化」でのワークフロー提案を実現している。
同社では、これによって患者ごとに異なる多種多様ながん遺伝子変異の研究を幅広くサポートしていくとしている。
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