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血液製剤の使用指針は、日本赤十字社や厚生労働省によって固く定められている。
臨床工学技士が操作する医療機器は基本的に患者の生命維持に関わっており、厳格な管理を行わなければならない。
そのためのガイドラインだ。
だが、現場でどれほど誠意を尽くそうともカバーしきれないリスクが発生することもある。例えば2015年に明らかになった化血研騒動についても、臨床工学技士は無縁でいられない。
血液製剤は人工透析の中でも使用される機会があるからだ。
技師の人となりが優れており、透析機器に問題がなかったとしても、使用される薬剤が不正なものである可能性が示されては患者の立場としても警戒せざるを得ない。
この化血研の不正が臨床工学技士の業務に与える影響を考えてみよう。
不正を告発された化血研はインフルエンザワクチンなどの製造販売において国内2位を誇るメーカーだ。
2015年5月に匿名の情報提供があって初めて不正が明るみに出た。
そこで初めて、40年以上の長きに渡って行われてきた偽装工作などの違反行為に行政のメスが入ったのである。
この40年の間に、化血研は大きな訴訟で訴えられた。社会問題ともなった薬害エイズ訴訟だ。
今となっては不正に製造された血液製剤を使用した患者すべての追跡調査は難しい。
臨床工学技士は病院に提供された薬剤を使用して患者の対応に当たる。
自らが薬剤を製造する任にない以上、薬剤そのものの問題については無力だ。
だが、患者に安心してもらうための工夫や努力ならばできるのではないか。
現場で血液製剤を用いる際、臨床工学技士の行動は規格化されて、医師と連携してダブルチェックを実施する。
薬剤1パック毎、患者毎に確認作業が義務付けられているのだが、こうした現場の管理が及ばない薬剤そのものについては、治療室の外でどれだけ情報にアンテナを巡らせているかを問われると考えていい。
血液製剤のメーカーは大手だけではないのだ。
薬害エイズ訴訟は96年の和解をもって終了した。だが、その訴訟の間にも化血研は安全基準を満たさない薬剤の製造と提供を続けてきたことになる。
トップメーカーだけに頼らず、さまざまな製薬会社に視野を広げて使用する薬剤の選定を行うべきなのではないだろうか。
化血研が完全に業務停止すれば、国内に流通するワクチンは欠乏し、多くの市民が病に倒れるだろう。だからこそ、周囲から注ぐ厳しい目をさらに研ぎ澄まさなければならない。
一般社団法人日本血液製剤協会に所属している会員企業と賛助会員企業は併せて現在8社である。
・一般財団法人化学及血清療法研究所(化血研)
・帝人ファーマ株式会社
・一般社団法人日本血液製剤機構
・CSLベーリング株式会社
・日本製薬株式会社
・バイエル薬品株式会社
・田辺三菱製薬株式会社
これに賛助会員企業「メルスモン製薬株式会社」を含めた8社、それぞれの薬剤製造工程などに至るまで理解を深めるには日ごろからの勉強が必要だ。
もちろん、臨床工学技士の立場で入手できる情報には限りがあるし、そこからデータと実物の齟齬を見いだせる確率は高くない。
だが、こうした努力は必ず患者の不安を緩和し、疑問を解消し、信頼を獲得する役に立つ。
患者に寄り添う医療従事者の努力には際限がないように思えるかもしれないが、自ら「ここまで」と情報や努力の線引きをせずに、日々の勉強に取り組んで行って欲しい。
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