臨床工学技士が「透析難民」を救う支援システムを開発

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まだ記憶に新しい東日本大震災時には、病院やクリニックなどの多くの医療機関も津波に流されるなどで被災したため、人工透析を受けられない慢性腎不全患者、いわゆる「透析難民」が大きな問題になった。
今後の発生が懸念されている南海トラフ巨大地震などの大規模災害が起こった際でも、災害で命が助かっても、大規模で同じような問題が起きる可能性は高い。
そんな中、透析治療を行う泉南新家クリニック(大阪府泉南市)では、災害時に他の医療機関に患者情報をいち早く提供し避難先でのスムーズな治療が行えるよう、患者情報を一元管理する透析業務を支援するシステムを独自開発している。

透析クリニックで独自開発

同クリニック透析センター部長で臨床工学技士でもある高木堅二氏と情報管理主任で臨床工学技士の田代庸平氏が開発したのは、患者自身が携帯電話で情報を持ち歩ける独自の透析支援システムだ。
2011年の東日本大震災をきっかけに本格的に開発し、2012年からは院内での運用を開始した。
IT技術を活用することで、災害時でも医療機関に最低限必要な患者情報を伝えられ、スムーズな透析につながると考えた。
また、透析医療の現場はIT化が遅れており、紙ベースでの作業に追われていたため、日常業務の効率化も目的の1つだった。 システムは、タブレット端末を使っての操作が可能だ。

「災害時の透析患者の支援」を想定

透析患者は通常、「週3回、1回約4時間」の透析治療を受けている。
日本透析医学会の2013年の調査では、瀬戸内海沿岸3府県(大阪、兵庫、和歌山)での透析患者は3万8,711人になる。
南海トラフ巨大地震発生時の避難者が仮にその10分の1と想定しても約3,900人の支援が必要になってくる。
体重やアレルギー、服用している薬などの透析をする際に必要な情報が分からない患者が多いと現場では混乱が予想される。
同クリニックでは透析条件などの基本情報を随時更新して、患者の携帯メールに送信しているため、患者は避難先でも画面を提示すれば速やかな治療を受けられる。 またクリニック側で患者情報をまとめ、受け入れ側の病院に送ることも可能だ。

システムを無償提供し、ネットワーク化で対応

同クリニックではシステムを無償提供しており、これまでに大阪、兵庫、和歌山の3府県11病院が導入しており、関西圏の他の医療機関でも広がりつつある。
システムが広がれば患者情報が共有でき、ネットワーク化することで広域大災害時にも対応でき、助かる命が増える
開発者の高木氏は、今後も被害想定の大きい臨海部や受け入れ側の内陸部でそれぞれ導入を進め、連携を模索し災害リスク軽減を進めていきたい考えだ。

公開日 :2015.10.08 更新日 :2021.10.06

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